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ご挨拶

「弓道四方山話」は平成12年8月頃から、千葉県松戸市弓道連盟のイントラネットに自分が考えている弓道に関する様々なことがらを書き溜めていたら、1年間で約160編ほどになりました。その後、平成13年9月に高校の20年後輩である峯茂康氏と知り合い、共感を受けたので、彼の主催する「射法. com」の中に「射法は寝て待て」の姉妹編として再編し、HPに掲載して頂きました。

「射法は寝て待て」は小笠原流弓術の徒然草、「弓道四方山話」は竹林流の独り言であり、まったく異なる流派の話題ではありますが、類似点、相違点がかえって相乗的な面白さを生み出していると思います。

文章は思いつくまま順不同に書きましたので、前後したり、矛盾したり、重複したりしていますがご容赦願います。この四方山話を始めた頃、学生時代に習った尾州竹林流の「四巻の書講義」、「本書」に出会い、強い衝撃と共鳴を覚えました。「四巻の書」は昔の書に特有の形式的、観念的なところが少なく、むしろ合理的、唯物論的な奥義書であり、力学的な正確さを併せ持っていると思います。そのため、四巻の書に関連する記述が多くなりましたが、すべて自分で消化して書いたものです。

この拙文が、弓道にこころざし修行に悩める若い弓引きにとって、少しでも参考になれば幸いに思います。また、考え違いや間違いもあると思いますので、気が付いた点があれば、ご指摘頂きたくお願いします。

平成18年3月 櫻井 孝(初出平成13年9月)

1-1 大円覚とは円相の心である

大円覚とは竹林流の射法の原点であり、「大日の曲尺」のことをいいます。四巻の書の序文には、「弓道を習おうとする人々は、数多く(108)の煩悩や、計り知れない重罪をも全て直ちに消し去って澄みやかな気持ちにならなければなりません。そして大円の覚りである佛(仏と云う字は弓と2本の矢を持った人と書く)の弟子となり先生の教えを信じ、伽藍(道場)を住家として修行にはげめば、命永く誠の心をもって達成できる」とあります。
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1-2 我は大日如来なりと思うべし

古書に曰く「目中(めあて)に用いる日月身と云う心は、我は大日如来と思うべし」これを「大日の曲尺」と云う。
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1-3 自分の力に合った弓を使うこと

弓道の修行において、自分の力に見合った強さの弓を使うことが極めて大切なことであり、竹林流の奥義書の冒頭の序文の後に、弓をこれから修行する人のためにやさしい激励の云葉があります。
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1-4 弓身意の三位一体について

弓力と身体と気持ち(精神)の三つが調和しないと、正しい行射ができないと古書にかかれています。
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1-5 弓弦矢の調和について

前回の話の続きに、弓・弦・矢のバランスがあります。強い弓にには太い弦が丁度良く、重い矢がつりあうこと。弱い弓には細い弦が合い、軽い矢が釣り合うという、当然のことです。これは道具の相応の釣り合いであり、よく心得る必要があります。
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1-6 コツと骨法とウエイトリフテイング

「コツを掴めば、コツを覚えれば、楽にできる」という云い回しは弓道用語からきたのではないでしょうか。コツを掴むとはやり方の要領を掴むことですが、日置流や竹林流の骨法から来た云葉のように思います。道場にかかっている吉見順正(紀州竹林派)の射法訓の冒頭に、「射法は弓を射ずして骨を射ること最も肝要なり。」と云っています。
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1-7 五行陰陽道について

射法訓の最後に「金体白色西半月の位なり」と云う難解な云葉があります。この意味は長い間判りませんでしたが、古書に五輪砕き(くだき)として、五行陰陽道のことが書かれていましたので、よくは判りませんながら、我流の解釈をしてみましょう。
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1-8 夢中と覚醒と無念夢想

心技体については弓道教本1巻の序論や4巻(村上先生)に書かれています。私も凡人ながら弓の楽しみとしての気持ちについてまねごとを書いてみたいと思います。
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1-9 弓道の幻影

弓道の達成と云うのは、道路の逃げ水のように追いかけても追いかけても追いつかないように思える、あるいは二十日ネズミの回転車のようにいつまでたっても進歩せず、くるくると堂堂巡りしているようにも思えます。
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小笠原流 流鏑馬

小笠原流 流鏑馬 | 小笠原流が各地の神社で奉仕する流鏑馬を網羅した写真集。各地それぞれの行事の特徴や装束が美しい写真で解説される。観覧者が通常見ることのない稽古の様子や小笠原流の歴史についても書かれており読み物としても興味深い。数百年の時を経て継承されてきた古流の現在を記録し後世に残すという意味で資料としての価値は高い。

小笠原流弓と礼のこころ

小笠原流弓と礼のこころ | 小笠原流宗家(弓馬術礼法小笠原教場三十一世小笠原清忠)著。一子相伝800年の小笠原流の歴史や稽古法などについては40年程前に先代宗家の著した書があるが、本書では加えて武家社会終焉以来の「家業を生業とせず」という家訓を守ること、そしてこの平成の世で礼法のみならず弓馬術の流儀を守ることへの矜恃が綴られる。

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本 | のうあん先生こと正法流吉田能安先生の教えを門人達が記録した書籍。のうあん先生は古流出身ではないが、古流を深く研究した上で現代正面射法を極めた人といえる。射法についての解説はもちろんのこと、伝説の兜射貫きや裏芸といわれる管矢についての記述も読み応えがある。

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