12-23 弓に関する神話〜竹林流伝書「灌頂の巻」から

竹林派の伝書の第五巻「灌頂の巻」に弓に関する神話があります。古い文体ですが面白いので、少し現代風に解釈・紹介します。

まず、伝書の概略ですが、竹林流の流祖・竹林坊如成は伊賀日置の弓術書を西暦1550年受け継ぎ、「一遍の射」と云う弓術書を著しました。この竹林坊が書いた本文は極めて簡潔であり意味深長であり、解釈が難しいので、二代目・石堂竹林貞次はこの書を五巻構成に別けて編集し、註釈を加えて認許を与える伝書としました。
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4-28 中四角の手の裏(内)について

1.中四角の手の裏


私は竹林流の「中四角の手の裏」と云うのは、中央で中押しとする基本の手の裏であり、教本などで云う「三隅の手の内」と殆ど同じと考えています。

手の裏を整える時、まず弓の外竹の左角に天文筋の上端(人差し指の付け根)と下端(小指の付け根)を当て、内竹の左角に龍(虎)の口(人差し指と親指で作る股)の右角(角見)を当て、親指の横腹を内竹(握り革)に馴れ付けて水平に伸ばし、掌の中央に窪みを付けるようにして、小指を親指の付け根に近づけて握り、次いで薬指、中指は小指に揃えるように親指との間に詰めて、柔らかく握り、人差し指は第三指(指先から三番目)をやや上に持ち上げるように張ります。
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12-22 「射法本紀」概略

土岐の徳田先生から「射法本紀詳解」という貴重な文献を頂きました。

原文である「射法本紀」は聖徳太子の御撰によると言い伝えられた非常に古い書ですが、これに本多流流祖の本多利実先生が解説を加えたものが「射法本紀略解」です。
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1-29 射法訓全文の解説

1.弓道教本の射法訓について


「射法訓」は射法の基本理念といえますが、若い人が背景や内容を理解せずにお経のように唱和しているのではないかと思い、僭越ではありますが勇気を奮って、解説に挑戦します。
「射法訓」
 射法は弓を射ずして骨を射ること最も肝要なり。心を総体の中央に置き、而して弓手三分の二弦を推し、妻手三分の一弓を引き、而して心を納む是れ和合なり。
 然る後胸の中筋に従い、宜しく左右に分かるる如くこれを離つべし。書に曰く鉄石相剋して火の出ること急なり。即ち金体白色西半月の位なり。
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1-28 礼記射義訓纂について

1.礼記射義についての疑問


弓道教本はもはや日本弓道の「聖書」であり、「礼記射義」「射法訓」は基本理念となっていますが、若い弓道人が背景や内容を理解せずに唱和しているように思います。
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9-14 伸びが射に与えるもの

射においては「伸び」が肝心要です。しなやかに伸びのある射は左右が釣り合って、伸びの方向(矢筋)に鋭い離れを生み、矢勢も良く、的中も確実となります。逆に伸びが止まると、緩みとなり、バランスを失って、離れも乱れ、矢色が付き(尻尾を振る)、的中も悪くなります。これは事実ですが、なぜそうなるのか検討してみましょう。
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3-26 弓道は天邪鬼

弓道は天邪鬼ですので、まじめに一生懸命になって、追いかけると恋人はそっけなく逃げてしまいます。自由気ままに祖卒なお話を書きます。
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4-27 弓手の働きについて

1.「狙いは弓手にあり、的中は離れにあり」


少し記憶が曖昧ですが、古い弓術書の言葉です。これは言葉通りの意味ですが、「狙いは弓手に映るので、これを正確に定めなければ中るはずがない、しかし安定した的中は離れにあるので、緩みやブレのない自然(軽妙)な離れを身に付けなければならない」ということです。
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6-20 「押し引き一如」の原理について

「押し引き一如」と「射法訓」には違和感


錬士の学科問題に「押し引き一如」があり、ネットで模範解答を探したところ、「射法訓の大三」を引用した文章を見つけましたが、私はこれには違和感があるので、一寸書いてみます。
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1-27 骨法、あるいは骨相筋道について(其の三)〜自分の体を意のままに操ること〜

普段の生活では自分の体を自由に動かすことは至極簡単で当たり前のことですが、弓道では自分の体を意のままに操ることが意外に難しいことが問題です。
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小笠原流 流鏑馬

小笠原流 流鏑馬 | 小笠原流が各地の神社で奉仕する流鏑馬を網羅した写真集。各地それぞれの行事の特徴や装束が美しい写真で解説される。観覧者が通常見ることのない稽古の様子や小笠原流の歴史についても書かれており読み物としても興味深い。数百年の時を経て継承されてきた古流の現在を記録し後世に残すという意味で資料としての価値は高い。

小笠原流弓と礼のこころ

小笠原流弓と礼のこころ | 小笠原流宗家(弓馬術礼法小笠原教場三十一世小笠原清忠)著。一子相伝800年の小笠原流の歴史や稽古法などについては40年程前に先代宗家の著した書があるが、本書では加えて武家社会終焉以来の「家業を生業とせず」という家訓を守ること、そしてこの平成の世で礼法のみならず弓馬術の流儀を守ることへの矜恃が綴られる。

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本 | のうあん先生こと正法流吉田能安先生の教えを門人達が記録した書籍。のうあん先生は古流出身ではないが、古流を深く研究した上で現代正面射法を極めた人といえる。射法についての解説はもちろんのこと、伝説の兜射貫きや裏芸といわれる管矢についての記述も読み応えがある。

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