home >  弓道四方山話 > 巻の五 「母の巻」

5-1 懸けの基本

昔の懸け(弓懸け、弽、ユガケ)は剣や槍を握れるように、グローブのようなもので、帽子も袖も柔らかい初心者用の懸け、あるいは小笠原流の諸懸けのようなものでした。
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5-2 道具としての懸け

懸け(弓懸け、弽、ユガケ)には製作者(懸け師)によって相当な癖がありますので、自分に合うか否か注意が必要です。懸けの形は先ず親指の長さ、方向、曲がり、および弦枕の位置が親指の腹の中央にあるかがポイントです。次に袖の長さ、方向、指の太さ、なじみ具合などです。
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5-3 懸口の深い浅い

懸口の弦枕の位置について、深い浅いがあります。これは溝の深さのことではなく、親指の付け根の関節に溝があるもの(現代の懸けの殆ど)が深懸けであり、親指の指先の関節の近くに溝があるものを浅懸けと呼んでいますが現代では殆ど在りません。
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5-4 懸けの指使い

懸け(弓懸け、弽、ユガケ)の指使いの基本は、離すべきでないときには確実に安全装置として働き、離れるべきときは躊躇無くフェザータッチのリリースができるように準備することと思います。弓懸けという字は弦を引っ懸けることから云われたものですが、親指の頭を中指の腹で合わせるだけで弦を懸けることができて簡単に離れるように出来ています。
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5-5 取り懸けの方法について

取り懸けの方法に「直懸け」と「受け懸け」が在ります。直懸けは取り懸けのときに最初から矢筈のすぐ下で懸口を結ぶ方法です。受け懸けは矢筈の10cm位下の所で弦に直角になるように親指を懸け、それをすりあげて親指の帽子に触れない程度の位置で親指と中指を結ぶ方法です。
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5-6 懸けの使い方は箸つかいと兎の耳

懸け(弓懸け、弽、ユガケ)の使い方は箸の使い方と共通点があると思います。筈こぼれや矢口があいて困る場合には、箸の使い方が参考になります。筈こぼれは直ちに無効になってしまいますので、射て外れるよりもショックが大きく、2度とやりたくない筈です。
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5-7 勝手の力学的作用

勝手の力学的作用についても、X、Y、Z軸について、軸力とモーメント成分の合計6成分があることには変わりがありませんが、勝手が上腕と下腕が曲げられた形になっているので難しくなっています。従って手首の働き、下腕、上腕、肩の働きに分けて考えるのが理解しやすいと思います。
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5-8 朝嵐の懸け

昨年の11月に長谷川弓具店に注文した懸け(弓懸け、弽、ユガケ)が、3月の始めにやっと出来上がってきました。新しい懸けの注文は、「手にぴったりであること、四つ懸けで、親指が短く、真っ直ぐで、懸口は親指の付け根から1cmくらい先の方にあり、溝を親指に直角につける」と言うものです。
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5-9 洗濯ハンガーによる懸口の練習

新しい懸けができましたが、手首に力が入ってなかなか慣れません。そこで、家でも夕食後などに、時々手にはめていじっていますので、グローブのように少しはなじんできました。しかし、的前ではまだ全然 です。
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5-10 ちょうど良い弓構え、矢番え

最初の動作である弓構えができているかどうかは、その人の射の品格が現れるといわれています。この点から、是非とも絶妙な弓構えを会得したいものです。
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