home >  弓道四方山話 > 巻の壱 「天の巻」

1-7 五行陰陽道について

射法訓の最後に「金体白色西半月の位なり」と云う難解な云葉があります。この意味は長い間判りませんでしたが、古書に五輪砕き(くだき)として、五行陰陽道のことが書かれていましたので、よくは判りませんながら、我流の解釈をしてみましょう。
五行陰陽道は、宇宙、自然界、人間まで森羅万象の成り立ちと輪廻を、天地の二極と五元素に分解して、説明するものであり、これに射法を当てはめて説明しています。陰陽道では天地、日月、父母を弓の本末、押手勝手の剛弱に喩え、釣合が重要であることを教えており、精神は大日如来のように、ゆったりと円やかに自信に満ちた射を目指すもの。五行道は全てのものを、天道の五惑星(土星、水星、木星、火星、金星)、物質の五元素(土、水、木、火、金)、方位(中、北、東、南、西)、五原色(黄、黒、青、赤、白)、五形(四角、円、球、三角、半月)に分解して考えています。

この他に、五体、五胴、五重十文字、五つ手の内、五つ掛けなど五にこだわった云葉が多数あります。弓道八節に相当するものとして射法五身(味)があり、これを五輪砕きに当てはめて説明しています。すなわち、1)目当て:足踏み胴造り弓構え、2)引き取り:打起し、引分け、3)会、4)離れ、5)見込み(残身)について五行に当てはめて説明しています。これとは別に、弓道の修行の5段階についても五輪砕きに当てはめていますが、これについては別途述べます。

1)目当ては「土体黄色中四角」であり、大地に根を張り、重心を中央に置き胴造りは歪みがないように四角くするのが射の基本です。

2)引き取りは「水体黒色北円形」であり、その心は水が流れて隅々まで行き渡るように弓の中に円やかに納めます。

3)会は「木体青色東団形」であり、木々が青々と茂って勢い盛んで、一杯に膨らんだようすを云います。

4)離れは「火体赤色南三角」であり、鉄石相克して火のいずること急なり。勢いのある離れです。

5)残心は「金体白色西半月」であり、黄昏に白く輝く明星、西に半月を見るように悠然とした様であるといいます。

しかし、やはり何のことだかさっぱり判りません。

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