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手袋考5「銅型」

現代弓道で使用される帽子の付いたユガケの原型は堂射(三十三間堂の通し矢)のために日置流竹林派で開発されたというのが通説です。

ユガケの発達過程については東北学院大学黒須憲教授のBlogが非常によくまとまっています。(注:以下採録にあたってユガケは漢字一文字をカナ表記に改めた)
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手袋考6「強弓」

よく「今の人の弓は弱い」「昔の人は強弓を弩いた」と言われますが、果たして昔はどれほどの弓力だったのでしょうか。

徳川蓬左文庫蔵「星野勘左衛門指矢の書」によれば、尾州竹林流の星野勘左衛門が京都三十三間堂で8000本を射通したときの弓は六分七〜八厘(握り上部の厚さ)で「四貫三百匁(約十六kg)の重りを弦にかけ一尺九寸開く」と伝えられていて、これは「二尺八寸の矢束で推定二五〜二八kgの強さとなる」と魚住文衛先生の著述にあります。
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手袋考7「なぜ堅帽子を使うのか」

前稿に弱弓で堅帽子は不要ではないかと書きましたが、吉田能安先生の口述録「弓道研究」にも「当たりだけなら柔らか帽子の方が当たるに決まっている。」と書かれています。

しかし能安先生はそれに続けて「弓道では、なぜ堅帽子を使うのかを考えなければいけない。」とも語っています。
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手袋考8「竹林ガケと三河ガケ」

前稿まで述べたように弓力30キロ未満なら手袋で充分ではないかと思うのですが、とはいえ現実には親指が痛まないよう保護されているのは楽です。無理に苦行を求めるという求道的な指向でなければ、痛い思いをしないで済むに越したことはありません。

さて「離れの冴えは素手に近いほど良いのは分かっているが親指に弦が食い込むのは何とかしたい」という我が儘な要求を叶えるユガケはないものでしょうか。
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手袋考9「節抜き諸ガケ 三河風」

竹林と三河の帽子を参考にしてオリジナルの節抜き諸ガケを自作してみました。コンセプトは「できるだけ素手で弦を執る感じに近い堅帽子ユガケ」です。

まず三河風の木帽子を製作しました。素手(手袋)で弦を執ると親指は軽く曲がりますが、その曲がりや向きのままになることを目標に削りました。

三河風節抜木帽子1
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手袋考10「節抜き諸ガケ 竹林風」

三河ガケの帽子形状を下敷きにして製作した節抜き諸ガケとは別の発想でもう一つ自作してみました。

これも「できるだけ素手で弦を執る感じに近い堅帽子ユガケ」というコンセプトは同じですが、今回は耐衝撃性硬質塩化ビニル管(HIVP=High Impact ビニルパイプ)を加熱成形して作った竹林風(ボラ頭)帽子をすげてあります。木帽子よりも薄く作れますから、角入に近いフィット感になると思います。
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小笠原流 流鏑馬

小笠原流 流鏑馬 | 小笠原流が各地の神社で奉仕する流鏑馬を網羅した写真集。各地それぞれの行事の特徴や装束が美しい写真で解説される。観覧者が通常見ることのない稽古の様子や小笠原流の歴史についても書かれており読み物としても興味深い。数百年の時を経て継承されてきた古流の現在を記録し後世に残すという意味で資料としての価値は高い。

小笠原流弓と礼のこころ

小笠原流弓と礼のこころ | 小笠原流宗家(弓馬術礼法小笠原教場三十一世小笠原清忠)著。一子相伝800年の小笠原流の歴史や稽古法などについては40年程前に先代宗家の著した書があるが、本書では加えて武家社会終焉以来の「家業を生業とせず」という家訓を守ること、そしてこの平成の世で礼法のみならず弓馬術の流儀を守ることへの矜恃が綴られる。

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本 | のうあん先生こと正法流吉田能安先生の教えを門人達が記録した書籍。のうあん先生は古流出身ではないが、古流を深く研究した上で現代正面射法を極めた人といえる。射法についての解説はもちろんのこと、伝説の兜射貫きや裏芸といわれる管矢についての記述も読み応えがある。

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