5-2 道具としての懸け
懸け(弓懸け、弽、ユガケ)には製作者(懸け師)によって相当な癖がありますので、自分に合うか否か注意が必要です。懸けの形は先ず親指の長さ、方向、曲がり、および弦枕の位置が親指の腹の中央にあるかがポイントです。次に袖の長さ、方向、指の太さ、なじみ具合などです。
私は手が小さいので、親指が小さめで、真っ直ぐで、弦枕が親指の腹の中央についていて、少し柔らかめでグローブのようにしっくりするのが好みです。紐は中幅、長めが好みです。
使うときは懸けを軽く握った状態で手首の上の方で親指の縫い目を隠すように堅めに巻きます。こうすると懸けの袖が堅くても、手首の動きを拘束せず楽に使えますし、懸けが傷まないようです。私はいつもギリ粉を少しつけて、皮が白くなった状態で、適度な摩擦とすべりを保ち、会の詰め合いでギリギリと音が出るようにします。また弦枕は時々こてを当てたり、蝋を付けて滑りやすくなるように手入れをします。ギリ粉で黒くなった汚れはしみ取りなどでふきとります。
懸けをしまう時は親指の上に3本の指を包むようにして、懸けの紐を斜めにぐるぐると巻き上げて包むと、握ったとき手になじみやすくなります。最後にタオルに包んで、懸け袋にしまうときれいな状態で長持ちします。
櫻井 孝 | 2001/09/03 月 00:00 | comments (0)
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