home >  弓道四方山話 > 巻の五 「母の巻」

5-7 勝手の力学的作用

勝手の力学的作用についても、X、Y、Z軸について、軸力とモーメント成分の合計6成分があることには変わりがありませんが、勝手が上腕と下腕が曲げられた形になっているので難しくなっています。従って手首の働き、下腕、上腕、肩の働きに分けて考えるのが理解しやすいと思います。

勝手の指先の働きは押手の指の働きと連動しており、軽く鋭く弾くのが基本です。このとき、指が引っかからないこと、ぱっと開くのではなく、握り込んでゆく離れがポイントです。

勝手の力は、X軸方向の引っ張り力と、弦からの上揚力に抵抗して下に抑える力があり、これは手首の脈所から手首の関節を通って矢筋方向に伸ばす方向です。

次に肱の位置ではX軸方向には弓の反発力の20キロですが、肱の水平、鉛直角度の2等分角の分力に見合うだけの後ろ向き(Y軸)の力、下向き(Z軸)の力が必要です。

また、肩の関節に対しては矢と体との偏心につりあって、肱を後ろに回すモーメント、肱を下に下げるモーメント、および、ひじを内側に絞るねじりモーメントがあり、胸を割って離れるのに重要なポイントとなります。

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