home >  弓道四方山話 > 巻の五 「母の巻」

5-10 ちょうど良い弓構え、矢番え

最初の動作である弓構えができているかどうかは、その人の射の品格が現れるといわれています。この点から、是非とも絶妙な弓構えを会得したいものです。

弓構え
自分のは猫背であり亀の首のようと言われ、年寄りくささが出てきてしまったようです。 弓構えは四方山話の出発点でしたね。大日の曲尺の胴造りが基本であり、円相の構えができているかが問題ですね。

矢番え
五重十文字の最初が弓と矢の十文字です。これは矢番えのとき、矢は弦に対して直角に番えるのを標準とすると解釈することもできます。

弓は上が長く下が短いので、上下(弦)を鉛直にするとき弓は5度くらい傾斜し、会の状態では約10度ほど傾斜するので、握りの位置での弓と矢は厳密には直角とはいえませんが、末筈(上)と元筈(下)を結んだ線は常に鉛直になっているので、全体的には直角になっていると見なすことができます。

したがって、矢番えで弦に直角に番え、弓の上下を絶えず鉛直になるように行えば、弓と矢はいつも十文字を形成していることになります。

矢を弦に直角に番えるためには、矢番えの際に弦が斜めになっていてはいけないことが明白です。弓を目の高さまで上げて弦を鉛直にして確認するのはこのためです。

この矢番えが筈一つ分高い時、矢飛びは低くなり、矢番えが低いと矢が浮き上がります。これについては昔の伝書にも「筈上下の口伝」として書かれていることは以前に述べました。いずれにしてもこの高さを常に意識することが最初のポイントでしょう。

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