home >  弓道四方山話 > 巻の五 「母の巻」

5-5 取り懸けの方法について

取り懸けの方法に「直懸け」と「受け懸け」が在ります。直懸けは取り懸けのときに最初から矢筈のすぐ下で懸口を結ぶ方法です。受け懸けは矢筈の10cm位下の所で弦に直角になるように親指を懸け、それをすりあげて親指の帽子に触れない程度の位置で親指と中指を結ぶ方法です。

これらは習慣であり、人の好みでありますが、竹林流(日置流竹林派ともいう)では直懸けを嫌い、受け懸けで行うようにします。これは、直懸けより受け懸けの方が矢筈との微妙な位置関係が取りやすいです。また手先で弦を捻り過ぎるのは好ましくなく、右肘全体で軽く絞るような感じが出しやすいと考えているためです。

そしてこの時の形がそのまま弓懐となり、円相の構えとなります。更にこの取り懸けの角度は大三でも引き分けでも会、離れまで変わらず、弦道、矢筋を決定します。そうすれば、矢こぼれも無く、矢口が開くこともなくなります。

コメント

この記事へのコメントはこちらのフォームから送信してください

記事カテゴリ
最近のコメント
recommend
小笠原流 流鏑馬

小笠原流 流鏑馬 | 小笠原流が各地の神社で奉仕する流鏑馬を網羅した写真集。各地それぞれの行事の特徴や装束が美しい写真で解説される。観覧者が通常見ることのない稽古の様子や小笠原流の歴史についても書かれており読み物としても興味深い。数百年の時を経て継承されてきた古流の現在を記録し後世に残すという意味で資料としての価値は高い。

小笠原流弓と礼のこころ

小笠原流弓と礼のこころ | 小笠原流宗家(弓馬術礼法小笠原教場三十一世小笠原清忠)著。一子相伝800年の小笠原流の歴史や稽古法などについては40年程前に先代宗家の著した書があるが、本書では加えて武家社会終焉以来の「家業を生業とせず」という家訓を守ること、そしてこの平成の世で礼法のみならず弓馬術の流儀を守ることへの矜恃が綴られる。

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本 | のうあん先生こと正法流吉田能安先生の教えを門人達が記録した書籍。のうあん先生は古流出身ではないが、古流を深く研究した上で現代正面射法を極めた人といえる。射法についての解説はもちろんのこと、伝説の兜射貫きや裏芸といわれる管矢についての記述も読み応えがある。

著者プロフィール
過去の記事
others
東海弓道倶楽部