home >  弓道四方山話 > 巻の五 「母の巻」

5-1 懸けの基本

昔の懸け(弓懸け、弽、ユガケ)は剣や槍を握れるように、グローブのようなもので、帽子も袖も柔らかい初心者用の懸け、あるいは小笠原流の諸懸けのようなものでした。

今のような堅懸けとなったのは、江戸時代に三十三間堂の通し矢が盛んになった頃、強い弓を、数多く、楽に引き、離れやすくするために改良されたものであり、現在の弱い弓であれば、グローブ型でも十分なはずです。したがって、合理的に改良された反面、うまく使いこなさないと、かえって難しいユガケとなっています。

懸けの基本はあくまでも素手にあると思います。ただそれでは指の皮がかわいそうなので、柔らかい鹿皮を使うのです。

教本4巻の福原先生の手の内、懸けの手の内の写真による解説はすばらしいです。いかにも無理のない離れが出せそうな形だと思いませんか。

ぜひ読んで頂きたいと思います。一文字、あるいは十文字の親指の働きを形で感じて欲しいと思います。

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