home >  弓道四方山話 > 巻の拾壱 「流水の巻」

11-11 竹林坊如成の終焉のなぞ

竹林坊如成は「一遍の射(四巻の書の原本)」を著し、尾張松平忠吉卿に奉仕して多くの門弟を育成し日置流竹林派と呼ばれました。次男の貞次が弓の名手になって家督と竹林流の印可を唯一伝授した後は隠居しました。そして再び出家して何処へか消息を絶ち、石堂家にも門弟にも連絡無く何時何処でなくなったか不明という謎の多い人物でした。
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11-12 続々・三十三間堂の通し矢

以前、三十三間堂の通し矢に使用した弓の強度を、お堂の高さと距離から推定しましたが、星野勘左衛門が三十三間堂で天下一を取ったときの弓の詳細な記述がありましたので、その強度をまた推定したいと思います。
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11-13 日置流から竹林坊への継承の謎

1.日置に二流あり

竹林坊以前の日置流の伝承については、「四巻の書」の註に「日置に二流あり、伊賀の日置弥左衛門範次(1394年〜1427年)と大和の日置弾正正次の流れなり、当流は伊賀の日置なり」とあります。この二人の関係は同一人物が移り住んだもの、あるいは兄弟と云う説もありますが、仔細は不明です。
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11-14 正統竹林の継承の謎

1.流派の継承

日本の伝統武芸は家系によって継承されるのが一般的ですが、竹林坊如成は四巻の書の序文において、「正直を神として法度に任せて心底に治するものには相伝すべし、たとえ親でいの弟子なりとも道に愚なる、異法に驚き、深心なきには伝ふべからず。」と記述しています。
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11-15 尾州竹林流江戸派の謎

1.竹林流江戸派と本多流

本多流の系譜から、渡辺甚右衛門寛が星野勘左衛門茂則の印可を相伝して江戸に移り住み、江戸派と呼ばれました。明治になって本多利実が継承し、多くの門弟を育成し、現代弓道の母体を築き上げた偉人ですので、利実翁の没後本多流と呼ばれました。
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11-16 竹林流の羽引き

印西派を始め日置流各派(吉田流)では取り懸けしたのち、押手を矢束の半分程度押し開いて手の内を整え、さらに左に送って引き開かずに(そのまま)斜面に打ち起して中力をとるので、「羽引き」の状態は殆どないと思われます。
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11-17 竹林坊、日置流の故郷探訪

平成23年11月5〜6日、学生時代の弓仲間のお招きにより東近江市弓道場での合宿に行ってきました。きれいな弓道場で気持ちよく行射でき、東近江弓道会の皆様とも親しくでき、夜は皆で宴会をして楽しい合宿でした。合宿の内容はさておき、この地は竹林坊の故郷ですので、見て来たことをご報告します。

1)蒲生野と雪野山.jpg
▲写真1 蒲生野と雪野山
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11-18 六百年前の伝説上の人物の子孫との出会い

1.インターネット情報

 平成23年9月初め頃、射法.comにY.安松さん(弓道はやらない)という方からメールを頂き、「先祖の系譜を調べていたら、安松左近丞吉次という名前があるが、竹林流の先祖ではないか」と云う情報を頂き、本当に驚きました。

 これが事実ならば、約600年も前の伝説上の達人の家柄が連綿と続き、現代まで歴史が残っていることに驚くとともに、わざわざご連絡頂いたことは、まさに奇跡のようなことと思います。安松家が現存していることは、竹林流の関係者の誰も知らないことですが、まさにインターネットの威力によるものと云えましょう。
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11-19 弓道の概略史

1)古代の弓
・日本の弓は、「魏志倭人伝」「上長下短の木弓、竹矢に、骨又は鉄の鏃を用いる」と云う記述があります。三世紀ころの時代ですが、現代と同様な長弓が用いられていたことが判ります。中国大陸の弓は上下対称の短弓であるので、珍しいという印象をもったと思います。
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