手袋考9「節抜き諸ガケ 三河風」
竹林と三河の帽子を参考にしてオリジナルの節抜き諸ガケを自作してみました。コンセプトは「できるだけ素手で弦を執る感じに近い堅帽子ユガケ」です。
まず三河風の木帽子を製作しました。素手(手袋)で弦を執ると親指は軽く曲がりますが、その曲がりや向きのままになることを目標に削りました。
まず三河風の木帽子を製作しました。素手(手袋)で弦を執ると親指は軽く曲がりますが、その曲がりや向きのままになることを目標に削りました。
二の腰は鹿革一枚なので柔らかいです。左はごく一般的な形に削った節抜き帽子です。今回の帽子はかなり短いことが分かります。
ボッテリと鈍角なので大きな帽子に見えますが全長は短いです。弦枕の位置はほぼ折り目(親指第一関節)にあります。
巻藁で試射したところ、短い帽子でかつ弦枕がかなり指先よりにあるので、人差し指と中指はガッチリ握っていないと弦を保てませんが、ギュッと強く握りしめた途端に離れが出ます。使い込んでボロボロの巻藁ということもありますが、いつもなら貫通したりしない(比較的まだ藁がしっかり詰まっている)部分を狙っても矢がブスリと抜けてしまいます。弦音は普段と違う重い音がします。
いわゆる平付けになる帽子の角度と弦枕の付け方で、しかも帽子の中で親指先は曲がっています。それを二指でギュッと強く握りしめるのですから、現代弓道のセオリーと真逆です。
帽子先の丸みのアールが大きすぎるのか、人差し指と中指の乗せどころがボンヤリして落ち着きません。そこで帽子の革を解いて削り直し、少し大げさに角張らせてみました。帽子全体が2ミリほど短くなったので弦枕も指の根の方へ少し移動したのですが、弦に引っ張られると少し帽子から指が抜け出てくる分を考慮して弦枕の移動量は3ミリにしました。
初めて的前で試したときは、最初の四ッ矢が皆中で、次の四ッ矢が全滅。失中は殆ど11時の枠際。もうひと保ちしたいと思った刹那にパチッと離れてしまう感じで不完全燃焼です。最初の4本はユガケが離れるままに任せたら的中したのですが、もう一頑張りしようと粘りを見せた途端に後へすっぽ抜けたという感じです。離れは軽くて申し分ありませんが、もう少し自分の意志通りにコントロールしやすくなるよう改良の余地があります。
竹林ガケは帽子が長めとか、クスネのようなギリ粉を使うとも言いますが、強弓を弩いて保ちで(会で)粘れるようにするためにはそれが合理的なのかもしれません。
この後にまた帽子を解いて改造しました。親指をグーの形に握り込むと親指根のところで帽子がつかえるので、帽子腹側下端を5ミリほど削りました。腹革は再利用するつもりでしたが結局新しいものに交換しました。
節抜きの部分は押さえると簡単に凹むほど柔らかいです。
三河風の帽子は上から二指で押さえるというより(少なくとも中指は)帽子の先から(前から)押さえる感覚になるのが新鮮です。本家三河ガケは竹林ガケや諸ガケのように小紐を帽子に掛けないようですが、自然に帽子先を押さえる力が掛かる形状になっているので、すっぽ抜け対策の小紐掛けは必要とされなかったのかもしれません。
峯 茂康 | 2016/10/06 木 22:04 | comments (1)
| -
コメント
また、この懸けの写真から弦枕の位置と角度は、私の引き方では指先に力みが入って使いこなせないと思います。私は親指を水平に使いたいので、親指の中央に直角の真一文字で付け根の縫い目から約10mm程度の朝嵐が好みです。これは射手の好みの問題ですので、弦枕の位置、角度、段差は微妙に調整が必要となり、自分に合うかどうかのポイントとなります。