home >  弓道四方山話 > 巻の四 「父の巻」

4-6 グリップの基本

「狙いは押手にあり、的中は離れにあり」

押手がしっかりしていないと矢所は定まりません。和弓の持っている癖をコントロールして矢を向いている方向に真っ直ぐに飛ばすためには、押手の親指の付け根で弓を捻りながら押す射法がポイントとなります。この射法のことを角見を効かすと云います。これについては「弓の偏芯モーメント」と云う題で2巻に書きましたので、くどくは申しません。

和弓では矢を右に番えるので、弦は矢を右に押し出す動きになります。このとき押手の力の中心を押手の中心ではなく、親指の角に来るようにすれば、弓を捻りながら押すことになり、力の方向は丁度矢筋の方向と一致して、真っ直ぐに飛ぶようになります。

これを角見を効かすと云います。角見が効かないと矢は狙いどおり、真っ直ぐに飛んでくれません。スライスの克服は弓道の第1関門です。

また切れの良い角見の効かせ方(手の内)は、手のひらで握るパームグリップではなく、指先で握るフィンガーグリップです。これは卵中と云って卵を握るようにとか、小鳥を握るようにと云いますが、初心のうちは指先で強く握るのが良いでしょう。

そして最も肝心なのは、離れで握りを緩めるのではなく、弓の反発力から瞬間的に開放されて、そのままの慣性力で伸びて弾け飛んでゆくフォロースルーに在ります。

このとき角見が正しく効いていれば、親指が伸びて弓は会での握りの位置の前傾角度を保ったまま、クルリと回るはずです。

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