home >  弓道四方山話 > 巻の参 「修学の巻」

3-25 濁水の射、澄水の射

「水は高きより低きに流れ、低きに溜まる。清水を注がなければ、濁水となりて澄むことなし。」

射法においてもこうすればよく中るといって、自分勝手に決め付けて肩を固め、矢が前に飛べば後ろに狙いをつけて、ただ同じ引き方を繰り返す射人は濁水の射です。日を追ってますます濁るが澄むことはありません。この中りは調子中りといって長続きするものではなく、矢勢はよわく、骨が曲がって緩みとなり、ついには頑固な悪癖を身につけてしまい、一生涯直らないものとなります。

この濁水を澄ませるには、清水を絶え間なく流しつづけると、次第に澄んで終いには透き通るようになります。

弓道においてもこれと同じであり、これに注ぐ清水とは良き師匠の正しい指導のことであり、それによって十文字の曲尺、骨法にかなった真っ直ぐな射、すなわち澄水の射となります。

ただし、濁水の射に至る原因はすべて自己流の心にあるので、心を洗い流さない限り、師匠の指導もただ流れてしまうだけです。

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