home >  弓道四方山話 > 巻の弐 「地の巻」

2-15 矢筋方向に飛ばす射法

会において頬付けの位置で、的心方向に向かって、空中に浮かんでいる矢は、矢筋方向に真っ直ぐに飛ばすことができれば、正しく的中するはずです。これは当たり前のことです。

しかし、矢を真っ直ぐに向けていても、弓を素直に真っ直ぐに押し開くだけでは、弓の偏芯によって右上45度方向に飛んでしまうことは、弓の運動として前回書きました。

そして、矢を真っ直ぐに飛ばす方法が射法の基本であり、弓道教本で教える弓道の規矩(きく)曲尺(かね)です。これは最も単純にみれば、押手の角見の働きと妻手の肘の働きであり、これらが弓、および骨格の偏芯モーメントに釣り合って、矢筋方向に割れて離れるものです。

即ち、押手手の内の働きに釣り合う妻手の懸けの働き、押手の肩根の働きに釣り合う妻手肩根の働きの4箇所の力を、中央の胸の中筋、背面の肩甲骨に集めて納めた状態が五部の詰めです。そしてこれを緩やかに伸びながら腹から断ち割った結果が、4箇所同時に離れる「四部の離れ」です。このとき両腕が左右に開くとき両拳は矢筋方向に伸び、両手の親指も矢筋方向に飛んでゆくはずです。

これらは私のいつもの口癖でした。

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