home >  弓道四方山話 > 巻の弐 「地の巻」

2-12 続・狙いについて

狙いについてはこれまでいろいろ書いてきましたが、遠的のように遠い場合、あるいは巻き藁のように近い場合の狙いについて書いてみましょう。

地の巻の「和弓では自分で狙いが判らない」では、矢筋と目線との三角形が的から眼までの距離、と的から弓までの距離との比例関係にあると書きました。

右目の目じりと頬付けの矢の中心との間は35mmとし、弓から眼までの距離を0.6mとするとき、近的では27.4/28.0をかけて、34mmとなり弓の幅の26mm+籐の厚み2×2mm+矢の半分4mmと一致するので、弓の左端に的が透かして半月となりこれが標準の狙いです。

もちろん顔の大きい人、小さい人、面向けによってこの35mmが大きく変化します。

これが遠的になると、59.4/60を掛けて35mmとなるので、近的より1mm分(的の4分の1程度)狙いが変化します。したがって近的と同じ半月の狙いとすると後ろ枠を狙うことになるので、半月と満月との中間(前四分の一)にする必要があります。

一方巻き藁では半割にするとき、矢が前に刺さると思いませんか。2mの距離で巻き藁を引く場合35.0×1.4/2.0=24.5mmとなります。したがって、巻藁では半月で狙うと矢は前に飛びます。したがって、狙いは半割ではなく完全な闇夜になり、ほぼ弓の中央付近となります。

以上が遠的をやりながら考えたことです。

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