2-11 上肩妻肩を地紙に重ねよ
この口伝は本多流のホームページに本多利実翁が解説していますが、なんとなくしっくりこない、「弓道の新研究」に石岡先生が、三重十文字の胴造りは磐石不動の衝立のような堅板のようにと書いているがこれもしっくりこないな、と思っていたら、突然ひらめきました。
地紙というのは、足踏みを扇の曲尺で開く時、扇の紙の部分が足踏みの軌跡であること。これが地紙なんだなと。 丁度その上に左右の肩、押手の肩、勝手の肩をきちっと重ねなさいと言う単純な口伝であると判ったのです。
つり革から手を放し、足踏みの上に両肩が均等にくるようにして、ひかがみを軽くはって、お尻を少し持ち上げれば、電車が揺れても安定していました。
これが三重十文字だなと実感できました。
でも回りの人は変な奴だなと思ったかも知れませんね。
櫻井 孝 | 2001/12/11 火 00:00 | comments (10)
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コメント
先輩のように強い弓で、早い矢飛びを望む気持ちは判りますが、5年ほど楽しんで上達すればそれも可能です。それで十分力が強くなれば、私の16〜24キロの弓をお試しください。
いま、強い弓を引くと弓に負けて、射法が崩れてしまいます。その話はこの弓道四方山話にたくさん書いています。射法訓の中で、「射法は弓を射ずして、骨を射ること最も肝要なり」をよく理解してゆっくりと修行して下さい。
縦横十文字がこれほど難しいとは思いませんでした。
体幹を鍛えるために、現在使用中の道場にある11キロから
15キロ前後のマイ弓を購入して練習するのは乱暴でしょうか?
やはり自分の弓を所有したい欲が出てきました。
三重十文字と云うのは、正しく向いた足踏み(地縄:じなわ)の上に、両腰骨(妻肩:めかた)と両肩(上肩:うわかた)を真っ直ぐに重ねることであり、極めて単純なことです。
しかし、実際には弓に押され、負けないで頑張ろうとするとき、肩も腰も歪んで、曲り、捻じれ、浮き上がり、縮んで、なかなか真っ直ぐにするのは難しいのです。体幹を鍛え、縦筋・横筋の十文字を保ち、重心を丹田に据える意識を会得する必要があります。
もし、肩の線が足踏みの線よりも後ろに開く(オープン)とき、矢は何処に飛ぶかと云えば、私はむしろ前に(右に)スライスすると思います。
この点では狙いがどこを向いているか、あるいは離れにおいて両腕をどのように放しているかのほうが大きく影響します。
まだ矢どころに執着するのは良くありません。あまり頭で考えないで体幹を鍛え、縦横十文字を意識して、根気よく練習してください。先回りせず、ゆっくりと行うことが大事です。
週末にご指導を頂戴した須藤です。
”左右の妻肩、上肩地紙に重ねよ”ですが
これは左右の肩の線を、足踏みで拡げた足の
爪先(左の大指の外かど、右の大指の爪かど)の
線の真上に置けということでしょうか?
もしそうなら、私の矢が裏に行く理由が分かります、
私の両肩の線は、内側に傾いている気がします。
如何でしょうか?
御免なさい、実を申しますと、この文章を書いた2001年当時はまだ弓道書をあまり読まず、自分の頭の中で考えていましたので、上肩を弓手肩、妻肩を馬手肩と思い込んで書きました。
匿名さんから今村先生の「弓執る心」の説明が判り易いとのご意見には賛成でしたが、文章そのものは訂正せずでした。
後日、竹林流の秘伝書「中学集」を読みましたら、以下の文章がでてきましたので、ここに紹介します。今村先生の解説もこれをさらに現代風に丁寧に書かれたものと考えています。
中学集
一 七道の曲尺(基準)の事。
五重十文字より始めて万事の曲尺なり。(中略)
足踏みの曲尺より、専ら用いるものとす。(中略)
胴造りの曲尺は、足二つの真ん中に、教えの如く真っ直ぐに立つ。
教えの如く立つというのは、かからず、退かず、反らず、かがまずと云うなり。
かかれば弓手へ寄り、退けば妻手へ寄り、かがみ過ぎればつま先へ寄り、立ち過ぎたるも曲尺に合わざるなり。
是によって真ん中に居ると云うなり。これも一つの曲尺なり。
妻肩(めかた)と上肩(うわかた)を地縄に重ねよ
めかたと云うは腰の骨の双方をいうなり。
うわかたはつねのことなり。(普通の肩?)
地縄とは足踏みの曲尺なり。
上中下をすじ違わぬようにと云うぞ。
これを三つの重ね(三重十文字)とも云うべきなり。
以上、中学集からの抜粋でした。
やはり、妻肩上肩の事、こちらに書かれていました。僕は先日、徳島の範士の先生に教えていただいたときに、足踏みで骨盤を左右に開くように教えていただきました。そうすると腰が安定して腰骨が伸びて・・・と教えていただいたのです。この時に、中臀筋を使うのだな、と思って中臀筋(股関節を外転する筋肉)を張ると、確かに腰背部の筋肉も連動して起きる。この筋肉は腰方形筋と言います。腰方形筋は腸骨陵から腰椎の横突起、そして第12肋骨下端について、腰椎を安定させるのです。これがわかって、「あれ?たしか、最近読んだ本に、骨盤と肋骨を近づけるような、その部分の筋肉を云々と書いていたような文章を読んだ気がするな、この筋肉かな?」と思って、『弓執る心』を読み返すと、この妻肩上肩・・・が書かれていました。「妻肩は骨盤の上端なのだ、上肩は肋骨下端なのだ、昔の教科はこのようにわざとわかりにくくしているのだ」と。ヘェッと思って読み返しました。
腰を伸ばそうという意識をすると、体幹が反ってしまいやすくなるので、徳島の範士の先生に教えていただいたように、骨盤を左右に開くという意識ですると、足踏み、腰、体幹が地紙にそろいやすく、その上にある肩も自ずと揃いやすくなるのだろう、と思って試し始めたところです。(30年も弓を引いていながら、今更ながら、恥ずかしながら・・・もっとも基礎の部分に戻りました。)
私も故今村先生の「弓執る心」は4年前に購入して以来、繰り返し精読しました。
射法射技の真髄を、理論的で、非常に判りやすく教えているので、自分の考えとも100%合致しており、最も信頼する書籍です。
8−21「下弓が暴れる」に「扉の原理」を引用しました。
また、5−12「懸けの手術」の弦枕の補修方法については、この本を読む前に書いたものですが、「弓執る心」にも「ここは縫わなくてもよい」と図中にコメントがあり、同様な懸けの修理を行っていることに、共感を得ました。
差し出がましいとは思うのですが
弓執る心: 今村 鯉三郎をお読みください
私はこちらのほうが得心いたしました