home >  弓道四方山話 > 巻の弐 「地の巻」

2-5 矢の回転について

石岡先生の「弓道の新研究」に、矢羽の働きによって矢には回転運動が作用して矢飛びが正確になり、的中が向上すると云う主旨のことが書かれていました。そのとき、私は矢が安定するのをコマ作用のことを云っていると思い、これはないと思いました。

「弓道の新研究」は凄い本ですが、中には間違いもあると思ったものです。矢羽は整流効果が強いと同時に、羽に直角の作用として回転にブレーキがかかるので、風車のようにはグルグルと回転しないはずと思いました。

冬の合宿の時、SさんからNHKの稲垣先生のビデオを見せていただいた時、丁度この答えがテレビで種明かしされました。

矢は羽の方向(甲矢、乙矢)によって2、3回程度回転することが判りました。これは矢に赤い糸を付けて飛ばすと、糸が巻きついて2、3回転していることが確認されました。

回転がない場合、矢に曲がりなどの誤差があると、矢飛びには誤差を生じますが、回転が生じると矢飛びの誤差が、一周して平均化され打ち消されることが判りました。従って「弓道の新研究」は正しかったのです。自分の解釈が浅はかさであったと判りました。

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