home >  弓道四方山話 > 巻の壱 「天の巻」

1-12 「即ち、金体白色---」の即ち

射法訓の最後の「即ち、金体白色---」の即ちとは何かを議論しているのをあるHPで見ました。

即ちとは、一般に「言い換えれば」とか同じ意味を示す言葉として使われていますが、そのような意味から解釈すると、無理な解釈となり、文体がおかしくなります。「鉄石相克して火のいずること急なり」と「金体白色---」が同じ意味を持つとの解釈はおかしいと思います。

「鉄石---」は鋭い離れのことであり、「金体---」は明らかに残身のことであり、因果、あるいは経過を示していますが、同一を意味しているものではないと思います。

ここでいう「即ち」の言葉の意味は、「すぐに、たちまち、即に、即座に、即刻、したがって、そうすれば」ではないでしょうか。このような意味を当てはめてみると、素直に理解できるような気がします。

したがって、会が充実して一杯になったとき、鉄を石にぶつけるように火花が散ってパンと割れて離れが出れば、たちまちその残身の形は弓手は半月に黄昏て、爽やかな余韻を残す達人の域であると言うように解釈できます。

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