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12-18 アメリカ、欧州の竹林派弓道

私は12-13「竹林射法七道」についてで、「ニューヨークの巻藁道場が弓師の柴田勘十郎の親戚の方が竹林流を指導している」と書きましたが、先代の柴田勘十郎ご本人が指導されているものでした。

京都の弓師である先代(20代)柴田勘十郎先生は娘婿に21代の家督を譲って、アメリカに移住して、弓道の指導をして組織を作り上げ、それが全米各地および欧州各国に支部を持つ大きな組織に発展したものでした。全虎弓道会(All Tiger Kyudo Groups)を参照ください。

第18代の柴田勘十郎が小林治道とともに関口源太先生に尾州竹林流(星野派)を学び、体勇社弓道場を京都で立ち上げました。柴田勘十郎20代は19代のもとで修行したので、この組織も尾州竹林流の射法にもとづく流派です。

しかし、これは日本から離れて柴田先生が立ち上げた道場ですので、日本弓道連盟とも尾州竹林流(徳風会:魚住一郎会長)とも交流が少なく、独立した弓道組織の色彩が強くなっていると思われます。

むかし、日本弓道連盟の以前に「武徳会」という弓道組織が作られたのですが、各流派が独自の射法の特徴、優位性を主張しあって、なかなか纏まり難かったと聞きました。

日本弓道連盟はその点に配慮して、各流派の特徴は残しながら尊重しあい、協調しあって一緒に競技ができるように統一した弓道組織として立ち上げられたものです。

日本弓道の普及発展という点では、全虎弓道会には非常に大きな功績とアドバンテージがあると思われるのですが、アメリカ弓道連盟が国際弓道連盟のもとに組織化されましたので、お互いに尊敬し協調しあって発展してゆくのが望まれます。

コメント

欧米の尾州竹林派について
 加藤さま、投稿を戴きまして有難うございます。
私はご隠居の身ですので、残念ながらそちらに出向いて、交流することはできません。
私は全虎弓道会を邪道であるとは書いていません。むしろ欧米に日本弓道、それも尾州竹林流を広め、大きな組織に育成した功績は熟知し尊敬しています。
日本弓道には多数の流派があり、その優位性を互いに主張していたが、日本弓道連盟という組織に集まって協調しあって共に発展してきました。
海外における日本弓道も国際弓道連盟という組織によって、統一した理念、射法、教本、指導教育を行って、日本弓道の伝統を守り伝えながら発展しています。この点から、海外の組織も日本弓道を正しく学ぶためには、国際弓道連盟に加入すべきであるが、全虎弓道会は加盟していません。
どんなに立派な指導者がいても、個人的組織による団体が大きくなれば、いつの間にか変質して異なったものとなる恐れがあります。
第18代柴田勘十郎は小林治道と共に「体勇社」を立ち上げた高名な弓道家であり、その伝統を受け継いだ20代21代も日本弓道、尾州竹林派の規範を正しく教えていると思いますが、個人的な指導には組織が大きすぎて、また忙しすぎて、無理であると思います。
弓道というものはなかなか難しいので、絶えず正しい指導を受けながら練習しないと、自己満足の癖弓に落ち入りやすいので、注意が必要です。
私にはノースカロライナのタイガー弓道会で弓道を習ったアメリカ人の友人がいます。彼は本場の尾州竹林流の指導を受けたくて、このサイトに連絡し来日して来ました。それで、米国弓道連盟に所属することを条件に、尾州竹林流星野派師範の故魚住一郎範士のもとで一緒に指導を受けることができました。
櫻井孝 | 2017/11/01 21:24
はじめまして、名古屋の那古野1丁目生まれ、現在は渡米15年以上になりますが、米国で先代の20代柴田勘十郎先生、現21代柴田勘十郎先生に弓、ならびに人間性の成長を教えていただいております。幼少より柔道を志しており、弓は30歳をすぎて、柴田先生にご縁をいただきました。先代は米国の地でゼロから弓道の指導を始められ、現在は全世界に日置流尾州竹林派を学ぶ弓道の生徒たちがおりますが、日本語を話すのは極小数です。弓道の先達の方々から、我々の尾州竹林派についてご意見をされるのはありがたいのですが、ご縁があれば是非とも、米国、カナダ、ヨーロッパにある我々の弓道場に一度、足を運んでいただき、我々と一緒に一度、弓を引いていただき、その後にご意見をいただけたらありがたいです。どこが正統で、どこが邪道というような、様々な憶測や、私も知らない多くの逸話がありますが、海外での指導、普及にそのような構図を持ち込んでも、海外の人々の関心はそこにあまりないのです。私は、先代の柴田先生が、凄まじい覚悟と努力で、世界中に残してくださった足跡を、ただ継承するのみです。将来の交流、相互繁栄を切に願い、稚拙な投稿とさせていただきます。拝
加藤大典 | 2017/10/20 02:23
以前に「全虎弓道会」のHPを見た方が、「彼らの射法は打ち起しから大三が非常に特徴的で現代の竹林派の射法と異なっているのはどうかという意見がありました。
またKotyufanさんから、柴田家(体勇社)の弓は堂射の伝統を守っており、アメリカの竹林派(全虎弓道会)この伝統を継承しているのではないかという意見を頂きました。
柴田勘十郎は代々高名な弓師であり、相当な弓道家であったので、批判するのはあまりにも僭越すぎますが、日本弓道連盟との交流がなく、18代、19代、20代と私的に継承された結果、独特な射法に変化してしまった部分と現代では行われなくなった(統一された)ものが継承されている部分も存在していると思われます。
彼らの打ち起し、大三は弓手の肘が直角に曲がっていることが特徴的です。
竹林流の打ち起し、大三には「猿臂の射」と呼ばれる肘使いが掟ですが、これは弓手をつっかい棒のように伸ばして、馬手で引くのを嫌って、弓手の肘に円相の働きを残し、肘に豆粒ほどの弾力を持たせて、左右を均等に引き分ける働きを実感するために行うものです。
弓手の肘を直角に折り曲げたのでは引き分けることはできません。
竹林流の伝統は「徳風会(魚住一郎会長)」が行っていますので、HPをご参照ください。
櫻井 孝 | 2010/08/26 19:46
近的の練習は流派によっては、合戦戦を前提とした稽古、流鏑馬の為、晴の場の稽古と目的が異なります。
柴田家の道場では月に1回は千射会を開かれていたそうでして、通し矢に関しては18代、19代、20代、当代それぞれが、三十三間堂で通し矢に挑戦されています。19代以降は映像でも見ることができます。
したがって、京都体勇社弓道場の弓は通し矢のためであり、アメリカの竹林派がそれを継承しているといえるでしょう。
伝統弓術が外国でしか生き残れないのは残念ですね。
koryufan | 2010/08/11 11:40
初めまして。尾張某所で弓を引く者です。
私自身は日弓連の射法しか知りませんが、地元尾州竹林の射派にも折々興味を抱いて見ております。
ところで、件の20代柴田勘十郎先生の教える道場でのHPを見つけました所、
http://members.chello.at/herbert.rauchfuss/Bilder%2018.htm
日本の道場で見かける斜面・竹林流とは少々射法が違うようです。
主に取り掛けから打ち起こしが特徴的でありますが、
これはどういったものなのでしょうか?
日本で見る竹林流は現代射法に変わった・変えた?とも想像しましたが、
そもそも伝統的な流派弓道がそのような事は無いかな、と考えを巡らすばかり。
この射法、御存知でしょうか?
さじかけ | 2007/01/23 10:22

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