home >  弓道四方山話 > 巻の拾弐 「文の巻」

12-7 弓道三昧

松枝先生の「弓道三昧」は冒頭、私小説のようであり、人生、自分の生き様を明らかにすることで、弓人生にのめり込んでいる様子を克明に記録されており、迫力があります。また随筆でもあり、文体の格調が高く、文学的な香りがあります。

中段は弓のこだわりが徹底的かつ科学的な目で追求されています。ここでは先生が求めている射の輪郭が解説、図によって示されています。また古い弓道書の研究、五行道の分析では、なぜ五輪砕きなのか、五行の配列の意味は何か、何故金体白色なのかと鋭く追及されています。私などは殆ど素通りして気が付かないことが色々書かれています。

後半は弓道の論文であり、力の働き、力学的な追求、人体の解剖学的骨格、筋肉からのアプローチは極めて論理的で、判りやすく、最後にスポーツ医学まで云及しており、正にこだわりの書といえるでしょう。

先生は現在「弓道三昧」の続編を執筆中であると聞きました。更に充実したユニークな本を出版して頂きたいと思います。

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