12-6 四巻の書・本書
この書は、竹林派の祖である竹林坊如成が伝えた、昔の「免許皆伝の奥義書」であり、流派の後継者でなければ手に入れることが出来ない書物であり、大変貴重なものです。
この奥義書(伝書とも云う)は文語調で書かれてはいますが、非常に理論的であり、力学的な説得があり、多くの教歌があり、口伝があり、五行陰陽道のように難解な仏教的理念などが懸かれています。
これらは、自分には非常に面白いものであり、共感を抱き、相当にのめり込みました。この中からいろいろ共感をえたので、「四方山話」の多くがこの伝書をネタにしたものです。
櫻井 孝 | 2001/09/03 月 00:00 | comments (6)
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コメント
本日(2018.12.14)蓬󠄀左文庫に来館されました櫻井様でしょうか。
もし間違いでしたら申し訳ございません。ご放念ください。
当文庫所蔵史料に『日置流四巻』(請求記号73-18)がありますことをお知らせすべくご連絡させていただきました。
他にも弓術関連書が少しばかりございます。ご都合にあわせてのお尋ねやお立ち寄りいただければと存じます。即応できず申し訳ありませんでした。
以上、よろしくお願い申し上げます。
名古屋市蓬左文庫 山本
また、インターネットは非常に希少な文献でも見られます。
古流武術書「紀州竹林流五巻の書」は吉見順正が弟子に与えた五巻の書(巻物)を写真に写したものと、現代活字に翻訳したものが対比できます。
竹林流の流祖竹林坊如成は「日置一篇の射」という弓道書を著し、竹林流を名乗りました。それは非常に簡潔に書かれているので理解が難しいことから、二代目の石堂竹林貞次が五巻編成に改訂し、註釈を加え、このうちの第一巻から第四巻までを内伝として、修行の段階に応じて与え「四巻の書」と呼ばれました。さらに第五巻は外伝として、流派の印可者(免許皆伝)のみに与えられ、これを合わせて、「五巻の書」、あるいは「本書」と呼ばれました。
「四巻の書講義」とは私の師匠である故魚住文衛範士十段が「弓道誌」に連載で解説した文章をコピーしたものです。
「本書」は本多流の生弓会がこの五巻の書を出版(非売品)したものです。これらは本来なら同じものですが、尾州系、紀州系、本多流系によって、内容が若干異なります。
奥義だから、なかなか見ることが出来ないのでしょうが、一度手にとってみることができればと思った次第です。