home >  弓道四方山話 > 巻の九 「紫部の巻」

9-6 鸚鵡の離れ

古書に、最高の離れが以下のように3種類出てきます。しかし、真の最高の離れは何かとは決めていません。竹林では一つの理想の射を決めるのではなく、その人その人毎の骨法に相応な射法を理想としているので、いずれも「至極軽妙な離れの」ニュアンスを云い換えて、説明しているのであって、根本は同じと思われます。

1. 鸚鵡の離れ

2. 四部(紫部:しべ)の離れ

3. 雨露利の離れ

鸚鵡の離れの「鸚鵡」とはもしかしたら、サンスクリット語か何か特別な意味を持つ云葉かどうかよく判りません。古書には全ての中央であり最高位を表すといわれますが良くわかりません。そして、鸚鵡と云う鳥はよく真似をするので、押手に見合う勝手の離れであるとも書かれています。竹林坊が流派を起した江戸時代の創世期に鸚鵡を知っていたのでしょうか。勝手の懸け口がくちばしに似ているとは云えないでしょうか。

四部の離れは、両手、両肩が同時に割れて開く離れであり、これは五部の詰めで良く締まったのち、胸の中筋に楔を打ち込んで、ぱっと割れる離れです。これは最高の離れであるという意味から、最高位の色である紫の字を当てたものです。

雨露利の離れは、露の雫がポトリと落ちる自然なイメージを表現した至極の離れです。

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