home >  弓道四方山話 > 巻の八 「石火の巻」

8-16 一分三界ということ

昔の伝書に「一分三界」という言葉があります。解説によれば、一分は3mmの小さい寸法ですが、これを「過去、現世、未来」という広大な世界のようにみて、そのなかの一分に狙いを付けるようにとありました。

同じ話のなかに「雪の目付け」というのがあります。これはひらひらと落ちる雪の一つに地面に落ちるまでじっと目をつけて行く稽古をしてゆくとついにはその雪の1片を貫けるようになります。

また「蚊の目のまつ毛の中をすみかとする『おんしょう』という小さな虫がいるが、修行をつむとついには、これをも貫くようになる」とあります。これはしらみの金玉を八つ裂きにするのとおなじであります。(ごめん、一寸下品になりました)

しかし、私はもっと単純明快に考えています。

「一分三界」というのは、狙いは籐の一巻にあたる1分(3mm)を上下左右に3分割して1/9の真ん中を狙いなさいというのではないかと考えています。またそれに近い解釈の文を読んだような気がします。

ところが、実際にはボーっとしていて、籐の一つや二つくらい狂ったまま離してしまっているのが実情です。もっと気楽にかつ正確に狙う必要がありますね。

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