home >  弓道四方山話 > 巻の八 「石火の巻」

8-3 離れの回転と指使い

日置流の浦上先生の本では、三つ懸けでは親指を一文字にして、肱を内側に絞込んだまま押手の角見を効かすことにより一文字に離れる、四つ懸けの場合には捻りを戻しながら離す、とありますが、自分の考えは少し違います。

三つ懸けの場合でも左回転に肱を絞ったままの離れは三味線離れであり、弦は必ず親指を擦って引きちぎった離れとなるはずです。

石岡先生の「弓道の新研究」では弦が懸けの弦枕から分離するのが離れであり、どこにも引っかからないように離れる必要があるとあり、離れの後勝手の手の平は的を照らす(的に向き合う)とあり、自分もそう考えています。

四つ懸けの離れでも、離れる寸前に絞り込みを緩めて離すのではなく、絞り込んだまま、爪弾きで懸け金が外される反動で捻りが一瞬に戻されるのです。

もともと取りかけの状態では、懸けは親指と手のひらがカタカナのコの字のような形で平行に弦を弦枕に絡ませ指を結びます。

このとき弦は上から見ると曲げられず一直線であり、このままでは弦は直ぐにはずれてしまいますが、若干懸けを絞ることによって、懸けの捻り皮(矢の根を抑える指の股にあたるところ)によって弦がS字状に捻られてロックされ、懸け金がかけられます。

離れの瞬間では懸けをじりじりと解く(懸け解き)のではなく、絞ったまま一瞬の内に指パッチンで弾いてやると絞り込みの反動で右回転がかかり、懸け口は取り懸けのときのコの字の形になりどこにも引っかからずに離れるというのが私の考えです。

このとき、親指を弾くと同時に中指を知恵の輪のように引き抜いてやるのが緩みが無くてよいと思います。こうすれば、指は一度も開く動きはなく握りこんでグーの離れとなります。逆にいえば離れで勝手を開く場合には指パッチンとは鳴りません。そしてこの動きは角見の働きとピタリと連動しなくてはいけません。

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