home >  弓道四方山話 > 巻の六 「掛け橋の巻」

6-12 半捻半弱について

半捻半弱という言葉があります。これもよくは判らないながら、我流の解釈をしてみましょう。

半捻と言うのは押手の腕の捻りのことであり、強く捻るのではなく弦の捻りとのバランスを見ながら絞込むものです。このとき、押手の肘を無理に右回転に絞りこむのは、行き過ぎです。こうする時押手は会で決ったような感触がありますが、離れた後を見ると、肘は必ず元に戻っているので、かえって緩んでいることになります。
注)伝書の記述では「半捻半搦」とはもっぱら馬手の絞込みの味を説明する言葉として使われており、弓手の捻りのことには触れていません。したがって半捻を弓手の捻りと捉えるのは、私の個人的な思い込みであるかも知れません。しかし、馬手の捻り込みと弓手の絞込みは明らかに捻りの作用・反作用として釣り合うのは、力学的にも正しい原理です。したがって、「半捻」を弓手の捻りと解釈としても、あながち間違いとは言い切れないと考えています。

したがって押手は一杯まで伸ばしきってはいけません、少し肘と肩に余裕を持ちながら軽く絞り込む味が必要です。

半弱というのは、前回書いたように手偏に弱の字で、搦と書き、「からめる」と云う意味があります。これも手首で強く捻ると会でカチッと決るような感じがありますが、強すぎると弦が懸け口でS字に曲げられ、弓が照る方向に戻され、離れが引っかかりやすくなるので、捻りが強すぎるのは好ましくありません。 肘全体を使って押手とのバランスをとりながら、軽く絞るのがその反動で鋭い離れを出し易く思います。

この二つの絞り込みの力は、押手の弓を伏せる力と、勝手の弦を捻る力が釣り合って、弓は丁度真っ直ぐになるものであり、程ほどに行ってきれの良い離れを生み出すのが半捻半弱の心でしょう。

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