home >  弓道四方山話 > 巻の六 「掛け橋の巻」

6-5 弦道(その2):引分けの曲線

引分けの力を時間軸でグラフに表すと、矢を徐々に引き込むに従い、段段増加して会の最大値に漸近する曲線が理想であると思います。引き分けでは弓の戻ろうとする力よりも引き分ける力が強いので、胸が開いて引き込むことができますが、会に至ると矢束が一杯となり、それに対応して最大値となり(十文字が形成され)一杯となります。

このとき力のグラフが三角関数(バイオリズムなど)のように頂上を過ぎて下り坂となる場合には縮み、緩みとなり、離れのバランスを狂わす恐れがあります。また、軽い離れを出そうとして、力を緩めると、力は頂上を過ぎて緩む形となります。

従って、引き分けから会に至るとき、力は最大値には達してはいけない、あくまでも最大値に漸近して増大曲線のまま、離れがこなくてはいけません。詰めあいと伸びあいとは表裏一体のものであり、胸筋が一杯に開くとき、背筋は一杯に詰めあいとなり、離れが生じるのです。

このときの力のグラフの接線(微分)はプラスであり、常に増大する曲線であり、引き分けの延長線のイメージで離れに繋げることが肝心です。古書では唯伸びて緩まざることと記されています。曲線の接線がマイナスになるとき、緩み離れとなります。若々しく力強い射を目指しましょう。

また頬付けが高すぎるとき、力の曲線は上昇途中にあり、口割りより下がると下降曲線になりやすいので注意が必要です。

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