home >  弓道四方山話 > 巻の六 「掛け橋の巻」

6-6 弦道(その3)リズム、体重移動

弦道を考えるときリズムも大切な要素ではないかと思います。体配において息合いは4拍子のリズムを伴って行うことを教わりましたが、行射における息合いも同じであろうと思います。

1)引き分けのリズム
先日、見せてもらった体配に用いるリズム計の4拍子のリズム1,2,3,4は1秒よりもかなり早く、多分1.5ヘルツ(1秒に1.5回)位であったとおもいます。したがって4拍子が約2.7秒、8拍子で3.5秒となります。

こうすると、取り懸け、弓構え、打ち起こし、大三、引き分けでそれぞれ4拍子、会で8拍子、残身で4拍子となります。しかし、会に入ると意識が薄れて、コントロール不能の状態になってしまいます。私の会は4拍子位であり、ここを我慢するとビクリがきてしまうので、早気を克服できないのです。

2) 引き分けの体重移動
ゴルフなど体の回転を伴うスポーツでは体の横の体重移動が重要ですが、弓道では横の移動はありません。足踏みに胴造りを重ね三重十文字とするとき、引き分けに従って体が弓に割り込んでゆく分僅かに重心移動するのが良いと思います。

私は、大三ではやや踵体重でそらし気味にして、引き分けで弓をひきつけながら、体重を弓に割り込ませながら会に入ります。このとき、胸から割り込むのではなく、むしろ腹(丹田)から入るような気持ち、臍と胸の間を広げるように、あるいは袴の腰板が腰椎に当たるのを意識しながら行います。でもこの体重移動は踵から土踏まずまでの5cm程度で、伸びあいから離れまでの余裕を残します。

会では両肩の骨を合わせるようにひきますが、弓と矢の線は胸弦と頬付けの関係から、体の中心線とは10cmほど偏心して前にあり、会で胸を開き肩甲骨を詰める五部の詰めによって、離れを発するとき右肘は「くの字」ながら両手両肘が飛んで一文字の離れとなり、このとき肩甲骨が閉じ、矢筋の線上に体の重心は移動し、土踏まずからつま先の間くらいになります。このときも引き分けと同様に、胸で割り込むのではなく腹で割り込むように考えています。従ってこの間の体重移動はせいぜい10cm程度ですが、打ち起こしから残心まで、いつも弓に割り込み前に懸かる意識が重要と思います。

もう一つ付け加えると緩み離れの出るとき体重は必ず後ろにかかり、肘が前に出ます。だからこの体重移動を常に前に懸ける意識があれば、緩み防止に効果があると思います。

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