home >  弓道四方山話 > 巻の五 「母の巻」

5-13 相応の懸け、懸けの五品

時の手の内(吾加の手の内)に対して、相応の懸けにて弦道を作るべしと有ります。

すなわち、懸けの五品とは「一文字、十文字、弦搦、深浅、弦計」の五つです。これらについても、既にいろいろ書いてきましたので、くどくは書きません。

一文字は懸けの親指を矢筋方向に(厳密にではなくて、概ね真っ直ぐ)伸ばすことをいいます。

十文字も一文字と同じことですが、親指と弦が直角になるような気持ち(五重十文字の取り懸け十文字)です。

弦搦(つるがらみ)と言うのは半捻半搦で述べたように、妻手の懸けの絞り具合をいい、手首で捻るのではなく円相の肘の張り具合を用いて懸け金をかけることをいいます。強く捻り過ぎると、矢の嚢(のう)がしなって矢色(やいろ)が出てしまいます。

深浅(しんせん)とは懸けの弦枕の位置が親指の付け根にあるか、指先に有るかのことであり、朝嵐の懸けとしていろいろ書きました。

弦計(つるばかり)と言うのは懸けの弦枕で弦に引かれる張力を秤にかけて指先に感じて用いることをいいます。

これらも時の手の内と同様に自分に相応の懸けを用いるべきと言います。

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