home >  弓道四方山話 > 巻の四 「父の巻」

4-20 鵜の首の手の内

押し手の極意として、五箇の手の内の1つに「鵜の首」があります。浮きたる手の内といい、上押し気味ながら手の平に空間を作って軽く押す手の内です。親指と人差し指の又(虎口)を開いて線として押し、下側の小指、薬指を詰める上開下閉の手の内です。これは、鵜が飲み込んだ魚を漁師が出させるときの手の使い方という説明もありますが、よく判りません。

以下は自分の思いつきですが、鵜でも、からすでも、白鳥でも、鳩でも鳥の動きを見ますと、鳥は首を垂直に立てたときも、水平にしたときも頭の形(くちばしも)は常に水平になっています。鳩や鶏が歩く姿を思えばその頭はいつも水平を保ちながらバランスを保っているのが判ります。

押し手の使い方もこれによく似ていると思います。取り懸け、打ち起こし、会での押し手の形はいつも水平になるべきであって、ちょうど鳥の頭の形とよく似ていると思います。そのようなわけで、大三でこの鳥の頭のイメージ、親指がくちばしのように伸ばすイメージがポイントとおもいます。

特に手の小さい人は大三で指を握り締めると、押し手が水平ではなく上を向いてしまい、下押し、あるいはべた押しの手の内になりやすいのです。

押し手が弓に直角になるのは、五重十文字の1つ、「手の内の十文字」であります。

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