home >  弓道四方山話 > 巻の四 「父の巻」

4-19 らんちゅうの手の内

五箇の手の内の1つに鸞中(らんちゅう)の手の内があり、昔の伝書では卵の字を秘して鸞の字を用いるとあります。

鸞はおおとり(鷲:わし)の雛のことであります。すなわち、押しての心は鷲(わし)が雛を育てるように柔らかくというこころであり、卵を握るようにともいわれます。

このとき、むやみに強く握ると卵は割れてしまいますし、雛は死んでしまいます。逆にあまりにも緩く握ると、離れで雛や卵を取り落とす危険があります。

これはいずれも鸞中ではないのです。鸞中(らんちゅう)の押してはおおとり(鷲)の握るような力強さのもとに、優しく握るのであります。

あくまでも強い押し手でありながら、雛や卵を握るように、決して取り落とすことのないように、柔らかいながらがっちりと受ける押してであります.したがって押してをただ単に緩く握って弓返りをさせるのではなく、鷲の気持ちになって柔らかいながらも強く握るのが肝心であると思います。

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