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羽引き

弓道関連のWebサイトも随分増えましたが、私がいつも感心して拝読しているのが「kenさんのBLOGS」です。著者の「kenさん」氏は日置流印西派なので、古流弓術とは如何なるものか興味があるのなら読んで損はない、というより必読のBlogです。

最初の矢を番えてから馬を出す
さて、本日ここに「羽引き」についてという記事が掲載されていました。

kenさんは「日置流印西派の教えの中にも無かったように思います」し「私達には全く経験の無いことなので」としながら、羽引きは「弓摺羽を保護する必要上行われた動作」であると書いています。

現代弓道では一般的にそういう理解でも仕方ないと思いますが、羽根が傷まないとか引き取りに移る前の筋肉の予備動作になるというのは結果であって、古流弓術では筈が弦からはずれないように羽引きをするのだと私は思います。

実戦で使う矢(雁又を付けた神頭矢や征矢)はぬた筈もしくはよ筈です。

ぬた筈というのは竹の根を削り出した筈で笠筈とも言います。筈の口はアヒルのくちばしのように拡がっています。

よ筈は篦の末端に直接溝を切って筈としたものです。口の形はぬた筈同様です。

手元を見ずに瞬時に矢番えをするためには、こういう形状の筈でなければなりません。

しかし、番え易いということは弦が筈から抜けやすいということでもあります。

勿論、筈の溝の一番奥はすこし拡げてあって弦を含むようにはなっていますが、命のやり取りをする戦場で、果たして筈の摩擦力だけを信じて弦を咥えさせておけるでしょうか。

現代弓道講座の騎射の項に「矢の筈を右手につまみ、矢番えをし、十分羽引きして左手でささえ」とありますが、騎射では馬を走らせる前に最初の矢を番えてしっかり羽引きしておきます。

写真は稽古で私が馬場の走路へ入る順番を待っているところです。腰に矢を挿していますが、弓にも既に一筋番えているのが分かると思います。

ここで羽引きが不足していると、馬が出た途端に矢を取り落としたり、手綱を離して馬手を弦に取り懸けるときに筈から弦を引き抜いてしまったりします。

常に両手が使える歩射なら羽引きせずともずっと右手で弦と筈を握っておけば良いのかも知れませんが、馬上ではそうはいきません。

そもそも羽引きはこういう単純な理由で行うもので、それが伝書にも書かれていないというのは、戦場に出る武士にとってごく当たり前のことだからなのではないでしょうか。

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