4-12 押手の指の整え方
押手の手の内について相当以前の弓道誌だったと思いますが、範士級の先生方が射技の真髄について座談会形式で見解を述べておられたのを読んだ記憶があります。 この中で、司会の先生が座談会の先生方に押手手の内で、中指の使い方について質問していました。
どうも最近は中指重視の手の内の考えがあるようです。良い形の手の内さえできれば、考え方は自由であっても良いと思いますが、自分の考えは一寸違います。
伝書の押手には前に述べた三毒があり、親指、小指、薬指に力を込めよと教えています。また、鵜の首の手の内は上開下閉と云い、上側の親指と人差し指はやや開き気味にして、下側の小指を小さく閉じ気味にするとかかれています。さらに、らんちゅうの手の内は雛、あるいは卵を握るようにと言うからには小指を小さめに握って支える押手です。
また、爪揃いの手の内は親指の虎口を七三に押し当て指を広げたあと、まず小指を整え、薬指、中指を小指に揃えてコンパクトに整える手の内であり、日置流の紅葉重ねの手の内も基本的にはこれと同様の考え方と思います。
これらは、何れも小指重視の手の内の整え方であり、中指のことは何処にも出てきません。
ただし、実際の手の内では小指よりも中指の働きのほうが勝り、中指は親指に対峙して締まり、角見の働きを生み出していると思います。この点から中指重視の考え方があるのかもしれません。
しかし、手の小さい人の小指はとくに引っ込み思案ですので、きちっと整えないと影にかくれてしまいます。だから、3本の指を揃えて三兄弟を仲良く働かせるためには、むしろ引っ込み思案の小指を重視して整え、それよりも力の強い薬指、中指は控えめにするくらいが丁度良いでしょう。
また、両手の小指の握りを重視すると、離れの瞬間に両拳を握り込むことになり、押手は鋭く弓返りで握りこみ、勝手は開くことなく握りこむグーの離れが出しやすいと思います。
櫻井 孝 | 2003/08/06 水 00:00 | comments (2)
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コメント
自分でそれをチェックできるか否かが大事です。
その場合には、3重十文字に照らして、さらには五重十文字に照らして、自分でチェックしてください。
これがチェックポイントです。
三,四段を受験する場合に要求されるポイントは自分で自分の癖を客観的に知り、それをどのように克服してゆくかにあります。
弓が返るかどうか、ではなく正しい手の内を理解して実行し、矢を真っ直ぐに押し出しているかである。
どのような事に気を付ければいいのかアドバイスをお願いします。