home >  弓道四方山話 > 巻の四 「父の巻」

4-2 鉄砲と望遠写真と押手

鉄砲で撃つとき(やったことはないが)左手は銃をがっしりと支え、銃身を右肩で抑え、右手は指先に力を入れないようにそろりと引き金を操作するはずです。また、一眼レフの望遠写真もやったことはありませんが、左手でレンズをしっかりと支え、右手はシャッターに軽く触れるようにしないと、ピンぼけ写真となってしまいます。

これらと弓道の押手、勝手の関係と一寸似ていると思いませんか。押手は大目、勝手は3分の1引くと云うのも、支点である押し手がしっかりしていないと狂ってしまうためです。しかし、体の中心の十文字は崩れてはいけないので、力は押手も勝手も共に均等であり、押手だけが強くなることはありません。これは気持ちの問題です。

また柱にくくりつけた綱を引っ張る場合、弱く引っ張れば弱く、強く引っ張れば強く柱は抵抗します。押手の働きも同じように、強く押せるような体勢で支え、実際には勝手の力に応じた強さで均等に押すのが正しいと思います。

また、引き分けて、会に至り、離れの機が熟したとき、まだ掛け口は安全装置として、軽く絞ったままであれば、そのままでは離れません。ただ会を頑張っていても持たれになってしまうので、会の留め金を外す必要があります。これは鉄砲の引き金を引くのと同じように、フェザータッチで、離れを誘う必要があります。すなわち、会で最大の力がかかっているときに、両側に伸びながら、肩甲骨を詰めながら、フェザータッチで掛け口の引き金を引き、肩甲骨に楔を打ち込んでパンと割れるのが理想的な離れであると思います。

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