3-21 力の強い弱いは関係が無い
「自分の肉体(皮肉骨の三体)は父母より遺伝によって受け継いだものであるので、強い骨格でも自分の手柄ではないし、弱い骨格と言っても自分の恥じでは無い。だから強い弱いを考えても無駄なことであり、ただ生まれつきのままにて稽古あるべし。
むしろ水が流れて平らに行き渡るように、自分の強いところを削って、弱い所に加えるようにすれば、強きも弱きも丸く収まり、矢勢がでるものである。それぞれの骨格に合って修行をすれば、弱き弓にても強き弓に勝るなり。
また、修行の段階は、たしなみ量る(はかる)と云うて、修行の程ほどを考えて、先急ぎをせずに順順に修行をすることなり。超えてすることを嫌い、一段一段と上ることなり。弓力が上るのも同じことであり、骨相につりあって上るとき、真の弓力になって骨法に合い、強弓も心のままに射られるようになるなり。
急に段階を超えて弓力を上がらんとする(欲する)時は、骨法を破るのもと(元凶)であり、血気いさむにて(ことにより)、一生涯弓に迷うものなり。」
これは弓道史上最強の豪傑である星野勘左衛門の解説です。「受く」の段階から少し慣れてくると、とかく先輩達のように一寸強めの弓を引きたくなるものですが、ここであせらずじっくりと登る事がむしろ上達の秘訣です。
櫻井 孝 | 2003/06/17 火 00:00 | comments (0)
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