home >  弓道四方山話 > 巻の参 「修学の巻」

3-12 2本のレール

弓道の話の中にゴルフの話を持ち込むと不謹慎だ、2足のわらじで真剣味が無いと叱られそうです。ゴルフ雑誌に、カリーウエブがアマチュアの人は目標に真っ直ぐ構えたつもりでも、殆どが目標の右を向いていると書いていました。そしてこの時2本の平行なレールをイメージするとわかりやすいと教えていました。ゴルフの場合には球の目標ラインと自分のスタンスの目標ラインは約60cmくらい離れていますので、目で自分のスタンスを真っ直ぐ向けると三角形の関係となり、右を向いてしまう理屈です。

弓道の足踏みではそうではありません。矢の頬付けの真下に足踏みの親指のラインがありますので、墨指しの曲尺で的から親指を結ぶ線を引いた所に重ねれば狂いはありません。

しかし胴造りで、両肩の線を的からのラインに合わせようとすると、先ほどのゴルフのように極端ではありませんが、同じように肩が右を向いてしまいます。さらに押手を真っ直ぐに入れようとして伸ばす時、押手から両肩が1直線になって右を向いてしまいます。これは肩の関節のラインと矢筋のラインが13cm位ずれているためです。

そうなると右肩が逃げて決らなくなり、右肱が関節に嵌らない射形となります。これは五重十文字の錯覚として以前にも書きました。

ここで矢筋と両肩のラインは2本の平行なレールであると考えると、イメージが判りやすいでしょう。即ち的から真っ直ぐなラインは矢筋と足踏みの親指のラインであり、腰、両肩のラインはそれに平行であること、左肩の付け根は真っ直ぐでなく、少し(約11度)折れ曲がっていることを意識するのが良いと思います。

そしてこの屈曲分が、力学的にはセカントシータの分力となり、押手は拳一つ半開いて(4寸の開き:13cm)、肩先からの押手の伸びになるのです。

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