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3-9 チェックポイント

自分自身の射技のチェックポイントについて列挙してみましょう。これは意外に多いので、いちいち射の運行においてチェックしきれないので、大部分のものは普段習慣的にし、あまり意識せず数点のポイントのみ決めて行うようにしています。

1)弓の張りの高さ、弓の形、うらはずでの弦の入り木の具合。

2)入場、進退の際:自分の気持ちの張りと落ち着き。

3)足踏み:スタンスの方向:中墨の曲尺、蜘蛛の曲尺。幅は矢束、角度は60度か、内股の締め。

4)胴造り:体の向き、両肩の構え、力みが無いか。第1のすまし、重心を真中に、大日の曲尺

5)矢番え:矢は弦に対して直角にする。矢番えで弦は鉛直であるので、矢は水平となる。番える位置が高いと矢は下に、低いと矢は上に飛ぶので注意が必要。

6)取り掛け:10cmくらい下で弦に絡めすりあげて結ぶ。一文字よりやや下弦をとる。掛けと筈の深さ、指のあたり具合、親指の爪を反らす、指の力は抜く、肱の捻り具合に注意。会の肱使いと同じにする。

7)弓手の手の内:弓に対して手の平を直角に、掌根を低く、親指を中指の位置に重ねる、小指を弓の角に当て、中指を揃え、薬指は引っ込めて握る。これが爪揃いの要領であり、紅葉重ねと呼ばれる。

8)弓構え:竹林流では斜面打ち起しであるので、羽引きのまま平行に横にスライドします。このとき両肘は丸く円相に構えます。これが第2の澄ましで、ここでもう一度「我は大日如来なり」の心意気です。両肘の張りは会での両肘の張りと同じです。勝手の指使い、矢とのすれ具合は取り掛けのまま、最後まで同じ意識にします。

9)竹林流の打ち起しは斜面ですが、大三は正面と同じです。正面打ち起しでは打ち起してから、横に移動して大三に至るが、竹林では弓構えの後、横に平行移動して、打ち起して大三に移るので順序が異なるだけです。

10)大三では第2の狙いによって、高さ、大きさ、押し手の手の内、勝手の肱の張りを確認し、矢が的を指しているか。また、両肩の線が三重十文字であるか、押手の肩は下から受けているか、力みはないか。

11)大三で引き渡すには押し手の内はカラス、勝手は兎にであり、両手とも弓構えの張りを変えてはならない。大三では腹式呼吸で、ゆっくりと吸い下腹に力をこめ、息を静める。

12)引き分けは反りはしにする。馬手はやや下弦を取る気持ちで、弦道に従って、レールに沿って引き分ける。押しても勝手の指使い、肱の張り具合は取りかけのままで変えてはいけない。また面は常にしっかりと向けたまま、途中で動かしてはならない。押してはあくまでも強く、大黒柱のように不動であり、引く力はこれと常に調和して、中筋で調和させる。大三から引き分けに従い、弓は開きながら体にひきよせ、体は弓にはまりこめる。体重はかかと体重から、土踏まずまで移動させる。引き分けはリズム良く、力を下に落とし、肩を楽にする。

13)引き分けから会に至る道は常に滑らかで、狙いを合わせ、頬付けを確認して会に至る。

14)会ではひたすら頑張ること、骨法を使って力むことなく、掛け金をかける。ここで更に、胸で伸び合いをすれば、同時に肩甲骨は詰めあいとなりこれ以上伸びれない状態となるが、ここで、勝手の親指を弾いて、胸の中筋に楔を打ち込んで、鉄石相克して火花が飛び散るように、一気にレール上を弾き飛ばす。

15)両肩、両拳と胸筋の五部の詰めの中央をかち割って、両肩、両拳の4箇所が同時に割って開くのが四部の離れです。

16)軽く、伸びて、弾けて、矢通りに飛ぶ離れです。

17)残身は離れの結果であり、良い射は良い形と気品が残る。常に反省点を見出して、次の射に生かしたいものです。

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