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騎射稽古矢

騎射稽古矢を一鞍作りました。

稽古矢

騎射稽古では続けて3本射ます。これを一腰と呼びます。木馬稽古の場合は一度鞍に上ると一腰を8回、つまり24本射るまで木馬を降りません。これを一鞍と呼びます。

従って、騎射稽古矢は一鞍分=24本が一組です。騎射稽古は矢の損耗が大変激しいので、稽古に備えて常に24本の矢を維持するのはなかなか骨の折れる仕事です。

正式な稽古場ではご宗家から貸し与えられた矢を使います。矢師に注文して誂えた矢です。これを各稽古場所属の門人が大切に修繕しながら使っています。

しかし、自主稽古をするとなれば自前の稽古矢を準備しなければなりません。私は4年前に自作した一鞍をこれまで修理しつつ使ってきました。いよいよそれがオーバーホールの時期になったので、また新たに一鞍作りました。

矢竹を矯めて節を落とし、筈と神頭を作って取り付け、羽根を矧ぎます。騎射矢の筈は弓具店で買える的矢の筈とは違うので自分で削って作らねばなりません。神頭もやはり自分で木材を旋盤で削って作ります。

ちなみに矢の根(先)に取り付ける卵形をした木製の部品は、内部が空洞になった鏑(かぶら)と、内側を刳り抜いていない木の塊である神頭(じんどう)の二種類があります。鏑は鳴鏑とも呼ぶように、先端に開けた穴から空気が通ることで笛のように音が鳴ります。

一方、神頭は音が鳴りません。戦場では相手を射殺さずに打ち倒して捕らえるような使われ方をしたとも伝えられています。とはいえ小さくて重い神頭矢ですから、当たり所によっては致命傷にもなったでしょう。逆に、犬追物で使うような大きくて軽い鏑は深手を与えません。

新年の稽古始めから新しい稽古矢を使おうと思います。

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