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多度大社流鏑馬祭

多度2004馬場入の儀
▲馬場入の儀:社殿から馬場元へ向かう

多度大社(三重県多度町)の流鏑馬祭へ行ってきました。この行事は古くからあった神事を平成3年に復活させたもので、毎年、新嘗祭(11月23日勤労感謝の日)に執行されますが、正式には多度大社の神事ではなくお祭り(多度町の観光行事)ですね。

多度大社
▲多度大社

この流鏑馬は当流関西騎射門人が中心となってご奉仕しています。当日は宗家以下本部や各地の門人も多数参加して年々盛大に執行されています。名古屋在住の私としては、この多度流鏑馬が一番近くで執行される騎射行事なのですが、実は現場で見学したのは初めてでした。

多度大社は毎年5月4日、5日に開催される奇祭「上げ馬神事」で有名ですが、これは境内へ上がる石段脇の絶壁を若い氏子が馬に乗って駆け上がる神事です。人馬とも何騎が壁を上れたかで作凶や景気が占われます。

祭時には、社殿前参道の突き当たりが絶壁になるように馬場を設えるのですが、この絶壁は2〜3メートルの高さがあるので駆け上がるのは人馬とも相当度胸が要ります。そのため馬を叩いたり薬物を使ったりして気合を入れるのだと言われたりもします。

多度2004上げ馬の坂
▲境内から参道の馬場を見下ろす

それを知った日本動物愛護協会が馬の虐待禁止キャンペーンを実施したため、妙な形で多度大社が有名になってしまって、今でも当流のご奉仕する流鏑馬と上げ馬を混同している人も多いようです。私も「多度の流鏑馬が…」と人に話したら「あの馬を虐めるヤツですかぁ」と嫌な顔をされて困ったことがあります。

追記

同じく三重県の猪名部神社でも古くから多度大社と同様な上げ馬神事が行われているのですが、こちらの保持団体は「東員町流鏑馬保存会」という名称なので、これも混同される理由の一つかもしれません。

そもそも、これら上げ馬は鎌倉時代の流鏑馬が時代と共に変化した神事とのことなので、混同されても仕方ないといえばその通りなのかもしれません。

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