home >  特集記事 > 星野勘左衛門 経歴の謎に迫る

6 星野勘左衛門の経歴の誤解

ついに8000本を射通す(弓道士魂351ページ)
▲ついに8000本を射通す(弓道士魂351ページ)

このように分析してゆくと、星野勘左衛門の経歴は杉山三右衛門の経歴と間違えて、あるいは二人の人物をミックスして面白おかしく逸話に作られたものが紀州藩側に伝わり、後に「南紀徳川史」の中に記述されてしまったことも考えられます。

杉山の記録は星野にも負けないほど凄いものであり、自藩から出て行った者が尾張の代表として三度も天下を奪ったと考えると、許しがたい気持ちになったのではないでしょうか。

真偽の程は確認できそうにもありませんが、もしそうであれば、勘左衛門が「脱藩者」という間違ったレッテルを貼られ、読み物になって現代に至るまで中傷をうけるとは、まったくひどい冤罪であったといえましょう。

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