home >  弓道四方山話 > 巻の拾弐 「文の巻」

12-16 竹林射法七道のあとがき

小林先生の「序文」は格調高いものでしたが、「あとがき」も素晴らしいので、現代風に解釈して紹介します。

「射を学ぶものは必ず正法によらなければならない。竹林射法はこれを七道として説いている。(弓道八節に対して、射法七道では離れのあとに残身(未来身)を一まとめにしている。)

従来は弓道を指導するのに、もっぱら奥義書の言い伝えによって行ってきたが、伝書の内容は深遠にして難解であるので、修学には不便を感ずるところが多かった。本書を著述する目的はここにあり、もっぱら射術(実技)を主体とし、それに射術理論を添えて説明し修学の補助となるように考えたものである。

しかし射の玄妙(真髄)にいたるところは、とうてい筆舌に尽くし難く、たとえ千言万語を費やしても及ばないものである。これについては、ただ鍛錬の一事あるのみであり、各人の「骨相筋道」にしたがって変化するところの妙趣を自分で悟るしかないのである。

このようにして鍛錬をつめば、筋骨は堅固となり弓力も強くなり業もついてくるものである。筋骨、弓力ともに弱いままではどんなに術理を理解してもともなわない。業の進むに応じてその術理を体験してゆけば、ますます遠くますます高く究極するところにいたることができ、これをもって深遠であると言う。

修学には順序があり、段階がある。一歩づつ着実に、堅固に進まなくてはならない。このようにして射の実際を理論に当てはめ考え、また逆に理論を実際に究めなければならないのである。(水鉄の心)

理論に任せて実際を怠り、また実際にひたりて理論を疎んずるようなことは修学の妨げとなる。(清濁の射)

よく理法に従って正道に精進して、ひたすら鍛錬の功をつめば、必ずや弓道の真髄に透徹することができると期待できるものである。」

一寸大げさな言い回しではあるが、竹林坊如成の修学の心得が小林先生の信念として語りかけてくるように思われます。

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