home >  弓道四方山話 > 巻の八 「石火の巻」

8-5 割れる離れと開く離れ

割れる離れと開く離れの話がありましたが、私は割れて開く離れが理想的な離れと思います。これは四部の離れと同じで両肩、両肱の離れであり、総部の離れとも云います。割れる離れは、引き分けで伸びて、会で肩甲骨が詰まってくる時胸筋に楔を打ち込んでぱっと石を割るように離れるのを云います。胸筋と肩の離れであり、小離れとなりやすく、どちらかといえば昔流の離れです。

開く離れは、大きく胸を開き両肱、両腕を開く大離れですが、ともすると会の力が止まってしまい、肱を止めて開く十字架離れとなりやすいです。

割る離れは胸を開くことであり、開く離れは肱を開くことであり、これらは片方のみでは不十分であり、両方を同時に行うのが良いと思います。

すなわち、割れて開く離れが両肘両肩が同時に離れる理想の離れ、四部の離れであります。このときの残身の肱は一直線ではなくややくの字の形になっているはずです。腕の開きは120度から160度まで開くのが現代弓道の理想でしょう。180度まで開ききるのではなく、少し残すのが味であると思います。

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