home >  弓道四方山話 > 巻の七 「十文字の巻」

7-11 五重十文字について

私はこれまで、五重十文字とは会における力の釣り合いについて、五行陰陽道から五にこだわったものと思っていました。体の縦横十文字と弓矢の十文字との二重十文字があれば、あとはその重複であると思っています。

また、十文字と言いながら、若干傾いていたりするので、厳密なものではなく、やや観念的なものと考えていました。

1. 弓と矢の十文字
2. 懸けと弦の十文字
3. 押手と弓の十文字
4. 背骨と両肩の十文字
5. 首筋と矢の十文字

その考えは今も基本的には変わりませんが、小笠原先生、白石先生の「詳説弓道」、あるいは魚住先生の「弓道概論」を読むと、十文字の順番がいつも同じ順番ででてくることから、会の状態での五つの十文字ではなく、射技の経過での十文字ではないかと云うような解釈もできます。

1. まず、弓と矢の十文字は矢番えするとき、矢は弦に直角に番えよと云うこと。
2. 次に、取り懸けのとき、懸けは弦に直角にあてる。これを懸けの十文字と云う。
3. 押手の十文字は手の内を整える時、押手は弓に直角に当てなさい。これは骨法陸と云い、中押しの形です。
4. 体の縦筋、両肩の横筋の十文字は引き分けの十文字であり、足踏み、腰、肩の三重十文字です。
5. 首筋と矢の十文字は丁度良い矢束に引き納めた会の十文字です。

このように見方を変えると、これも非常に説得力があり、順番を含めて、なる程と思います。しかし、四巻の書では五重十文字は詰めの十文字と言い、射形の総体五箇所に十文字の曲尺ありと書いている。それを素直に解釈すれば、私の最初の考えとおなじように、会の状態での詰めあいにおける、五箇所の十文字となります。

どっちが正しいのか、よく判りません。誰か教えて下さい。

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