home >  弓道四方山話 > 巻の六 「掛け橋の巻」

6-7 矢筋、矢乗り、弦道、矢通り

矢筋、矢乗り、弦道、矢通り、などよく似た云葉について、例によって我流の説明を致しましょう。

1.矢筋は的と矢を結ぶ筋のことです。矢筋方向に放せと云うのは、離れで押し手は的のほうに、勝手は矢筋の延長線方向に一直線に伸ばせと云うことです。このとき残身の最後の形が一直線になることでは在りません、離れから残身に至る途中経過(スローモーション)において両手の拳が常に矢筋の方向にあると云うことですので、勝手の肱は途中ではくの字になっているはずです。

2.矢乗りというのは矢が実際に向いているほうこうであり、上下左右あります。これは真のねらいであり、正射必中と云うからには矢乗りが正しくなければなりません。

しかし、以前にも書いたように和弓は自分では狙いが見えませんので、他人に見てもらい確認することが必要です。狙いの半割りというのは標準的なものであり、面向け、頬付け、骨格によって微妙に異なりますので、常に正しくつける習慣が必要です。

3.弦道は大三から会に至るときの勝手の軌道であり、これがきちっと決まっていればいつも決まった釣り合いで決まった会に至ることが出来ます。従って自分に合った弦道を見つけこれを体に覚え込ませるのが、射技習得の基本です。

なんども云ってきましたが、自分に合う会の形から大三まで引き戻してみてレールを覚える反復練習が効果的です。

4.矢通りと云うのは、弦道よりももう少し広い。打ち起しから残身に至るまでの各段階においての矢の通り道、すなわち押してと勝手を結ぶ線が常に的を向いていることです。押し手と勝手を父母と云い矢を子と云うとき、父母が仲良く愛情をもって育てるように釣り合いを考えれば、よい子が育つでしょう。残身に至るまで矢通りを進めば、真っ直ぐな矢が出るでしょう。

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