home >  弓道四方山話 > 巻の五 「母の巻」

5-17 射法と懸けの関係

弓道誌の7月、8月号に「射法と懸けの関係について」という題名で、故魚住文衛先生(恩師)の弓道論文が掲載されています。文衛先生は5年前に逝去されましたので、これはご子息である愛知県連会長の魚住一郎範士が編集されての執筆です。

内容は竹林流の奥義書である「四巻の書」に書かれた懸けと射法に関する考え方をまとめ、現代風に解説したもので、私の「弓道四方山話」も同じ伝書を元にしていますので、基本的な考えは一緒であると思っています。一文字、十文字、半捻半弱(搦)、弦搦(つるがらみ)、受け懸けについて、あるいは懸けの種類、懸口の角度の影響について解説していますが、これらは「弓道四方山話」でも触れました。

丁度、昨年の秋ごろ、私が自分の四つ懸けの薬指を解いて三つ懸けに改造したことを、名古屋の友人にメールで書いたところ、思いがけなく魚住一郎範士(愛知県連会長)からメールが直接あり「四つ懸けを改造すると問題が多いので、注意すべきですよ」と教えていただいたことがありました。メールが友達の輪で繋がっていたことから教えて頂いた次第でした。

私の懸口は「懸けの手術」と題して、"大筋違い"の弦枕を"一文字"に、また"深懸け"であったものを"浅懸け"に改良したものであるので、三つ懸けの基本的な考えは、違っていないと云えます。いずれにしても懸けは非常に繊細な道具であるので、その性質を十分に見極めないとなかなか慣れないものであるといえます。

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