home >  弓道四方山話 > 巻の参 「修学の巻」

3-23 水の心を学ぶ

「修学は水鉄の如し、例えば水は水を流し、鉄は刃金を削る。この心を知りて、剛はごう、弱はじゃくと己の分際をわきまえて、骨力を旨として鍛錬すれば、たとえ骨細き骨相なりとても、稽古円満すれば、大山をも押し流す矢勢に至る。

水は高きより低きに流れ、地形の高低を平らに削る。また、水は方円の器に従い、すなわち四角い器にも円い器にも、隅々まで均等に行き渡る。弓道の修行も同じであり、体の隅々まで力が浸み渡り、均等に釣り合う心を知ることが肝要である。

力の過ぎたるところを削り、弱き所にまわして、筋骨を緩やかにして、全身に行き渡らせることであり、これを汰流(ゆりながし)と言う。

たとえ骨弱くとも、真っ直ぐに体全体に満ちて出る矢勢は、骨強きも曲がりたる矢に勝るものである。」

力の強弱、上手下手を気にしないで、先生(称号者)の教えに従って、真っ直ぐな射を修学すれば、かならず上達すると信じて稽古することが大切です。

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