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3-16 素引き練習

家で素引き練習をする時、私は懸けをつけて的前と同様に弦枕に弦をかけて素引きをしています。懸けをつけないと指が痛くなって引けませんし、懸け口を同じようにしないと練習にはなりません。

初心の方は素引きの時、逆手に持ったり、4本指で行なっているのをよく見かけます。なぜそうするのかと聞いたとき、弦が外れたときに顔を打って怖いので初心者はこのようにしなさいと学校の先生から指導されたとのことでした。

懸けの使い方が悪くて弦が外れることを恐れるのではなく、そうならないためにはどうすればいいかを体得することが大切であると思います。弦枕に掛けて素引き練習をすれば、懸けの絞り具合と弦の掛け具合の感じがよく体得できるようになると思います。

家では天井が低いので素引きを立って行なうことは出来ません。庭に出て行なうのが一番いいのですが、面倒くさいので、部屋の中で両膝をつける割膝、正座で素引き練習をしています。

要するに、素引きは単なる筋力トレーニングではなく模擬練習ですので、なるべく実際に近い形で練習するのが肝心であると思っています。

しかし、私の上記の文に対して、相当高段の射手から「掛けをつけて素引きをするのは、空弓となる危険がある」とのご指摘を頂きました、有難う御座います。

自分は自宅で日頃、25キロの弓を弦枕に掛けて素引き練習をしていますが、素手では痛くてできませんし、外れて空弓となることはこれまで有りませんし、成らない自信が有ります。

今後も掛けの使い方を慣らす上でも続けるつもりです。また、素引きで空弓となるようでは、的前で矢を番えても危険であることには変わらないと考えています。むしろ、掛けの弦枕で安全装置を確実に働かせるコツを掴むことが大切と思います。

しかし、空弓の危険性は判りましたので、初心者に勧めるのはやめましょう。

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