home >  弓道四方山話 > 巻の壱 「天の巻」

1-24 「四巻の書」序文 円覚経について

竹林坊肖像

先日昔の仲間と久しぶりに練習をし、弓道談義となった時、「四巻の書」は難しいのでなかなか読めないとの意見を聞きました。

原本ではなく、「故魚住文衛先生の講義」は丁寧に解説されているので、ゆっくり読めばその面白さに引き込まれるはずと思います。しかし、その序文は「円覚経」と呼ばれる経文で始まり、解釈が難しいので入り難いのかも知れません。そこで、この現代風解釈をしてみたいと思います。

當願衆生、百八煩悩、無量之重罪、即時消滅、我是誰是、諸未生以前、本来之面目、一円之内、アバウン(梵字)也、以大円覚、仏弟子、為我伽藍、即是寿養、信心安居、常在於其中、教行若座臥、平等証智。

弓射の修行を願う人々は、百八の煩悩(数え切れない悩み)、計り知れない重罪(悪癖)を直ちに消し去って澄みやかな気持ちにならなければならない。

我は誰なのか、生前は何か誰も知るものは居ない。唯アバウン(胎内仏:梵字)として生を受けて、人となったものである。(これは輪廻の世界である)

大円の覚をもって仏弟子たりとは、天地到る処に余念なく、弓に丸くはまる心なり。大日如来である佛(仏と云う字は弓と2本の矢を持った人と書く)の弟子となり先生の教えを信じ、伽藍(道場)を住家として修行に励めば、座して臥すが如く安泰で、身を養う元である(例えば、日常生活で寝起きするように、安らかで健やかに精進できるもとである)。このために、師匠の教えを守り、本心をもって修行することを誓うものである。

コメント

この記事へのコメントはこちらのフォームから送信してください

記事カテゴリ
最近のコメント
recommend
小笠原流 流鏑馬

小笠原流 流鏑馬 | 小笠原流が各地の神社で奉仕する流鏑馬を網羅した写真集。各地それぞれの行事の特徴や装束が美しい写真で解説される。観覧者が通常見ることのない稽古の様子や小笠原流の歴史についても書かれており読み物としても興味深い。数百年の時を経て継承されてきた古流の現在を記録し後世に残すという意味で資料としての価値は高い。

小笠原流弓と礼のこころ

小笠原流弓と礼のこころ | 小笠原流宗家(弓馬術礼法小笠原教場三十一世小笠原清忠)著。一子相伝800年の小笠原流の歴史や稽古法などについては40年程前に先代宗家の著した書があるが、本書では加えて武家社会終焉以来の「家業を生業とせず」という家訓を守ること、そしてこの平成の世で礼法のみならず弓馬術の流儀を守ることへの矜恃が綴られる。

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本 | のうあん先生こと正法流吉田能安先生の教えを門人達が記録した書籍。のうあん先生は古流出身ではないが、古流を深く研究した上で現代正面射法を極めた人といえる。射法についての解説はもちろんのこと、伝説の兜射貫きや裏芸といわれる管矢についての記述も読み応えがある。

著者プロフィール
過去の記事
others
東海弓道倶楽部