骨折後2週間〜1ヶ月
その後2週間ほど大人しくしていたのですが、どうにも痛いのでセカンドオピニオンというか念のため国立名古屋病院(正確には独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)の整形外科を受診したところ骨折していると診断されました。思わず「ヒビじゃなくて骨折ですか?」と聞き返したのですが、ヒビというのは立派な骨折なんだそうです。
さて、骨折と言われただけで重傷のような気がしてくるから不思議です。ただ、この時点では骨折部分のズレ(転位)はおきておらず、3週間後からリハビリを開始するようにとのことでした。
しかし、それまで腕を固定しておきなさいとか、骨折部がズレるとどういう障害が残るのかとか、どいういう動きは避けなさいとか注意してくれても良さそうなもんですが、安静にしておきなさいの一言で診察終了。しかも、国立名古屋病院では外来のリハビリはできないからよそでやって貰ってくれとのこと。うむー。
釈然としないまま2週間経って、約束通りホームドクターで受傷1ヶ月後のレントゲンを撮りました。そうしたら、なんと悪化しているとのこと。えーっ。
ただ、説明を聞いてもどのように悪化したのか要領を得ないし、また安静にして来月レントゲンを撮りに来なさいと言うだけで「このままで大丈夫か」と不安になりました。どのみち安静にするしかないとしても、専門家としての見通しというか安心する説明が欲しいワケです。
そこで、スポーツ整形外科のある病院で膝や肩の治療が得意なところを探すことにしました。名古屋には昔から有名なスポーツ整形外科があるのですが、器械体操の選手だった実弟によれば、最近そこはあまり良い評判は聞かないとのことだったのでパスして、三菱名古屋病院を受診することにしました。
三菱名古屋病院では紹介無しの初診で飛び込んだにもかかわらず、すぐにレントゲンを撮って診察して貰え、なんと午前中のうちにMRI診断まで済みました。レントゲンと3分間ほどの診察を受けるだけで4時間も待合室の椅子に座らされた国立病院とは雲泥の差です。
三菱名古屋病院では骨折部が上にズレている(転位している)と診断されました。もし私がプロ野球の投手なら、骨折する前と同じスピードの速球を投げることはできなくなるだろうと医師に言われました。腱(筋肉と骨の接合部)が筋肉の縮む方向へズレたということは、今までより余分に頑張って筋肉を縮めないと腕が上がらないのだそうです。
こういう丁寧で具体的な説明を専門医に期待していたので嬉しい限りですが、よく考えたら喜んでいる場合ではありません。「受傷直後にこれだけズレてたら、すぐに手術だよ」とも言われて青くなりました。腱が周辺の骨とともに完全に剥がれてしまったら、肩を切開して骨をボルトで固定する手術が必要なんだそうです。
ただ、私の場合は骨折して1ヶ月経っているので、骨折部分には繊維が相当できて再生しかけているはずだから、くっつきかかっているところを無理矢理剥がして固定し直す手術はリスクが大きいということで、このまま慎重に経過を見守ることになりました。
また、腱板断裂の可能性もあると言われて、腱の連続性を診るためにMRI撮影(筋肉は普通のレントゲンでは写らない)も実施しました。
腱板とは、肩周囲の4種類の筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の腱が一枚の板のようになって上腕骨にくっついている部位です。この筋肉群はローテーターカフ(回旋筋腱板)とか腱板筋群と総称されます。
腱板は肩を動かしたり安定させたりするたびに周りの骨や筋肉に擦れて摩耗し、使えば使うほど切れ易くなってきます。特に腕を頭より高く上げる動作を繰り返してローテーターカフを擦ったり挟んだりする水泳、テニス、野球といった種目のプレーヤーは腱が断裂したり、付着部位である大結節が剥離骨折したりする可能性が高くなります。
このような腱板断裂や剥離骨折はプレー中に自然に起こることもありますが、肩を永年使って弱っている人は肩の打撲といった外的要因が引き金になって起こることもあります。私の場合はこれに当てはまるのかも知れません。
MRI室のベッドに横たわり、狭い筒型の機械の中へ上半身がベッドごとスッポリ入ると、周りからハンマーでドラム缶を叩くような音が聞こえてきて、それが速くなったり遅くなったりします。技師が教えてくれたところによると、音が速くなったときに撮影をしているのだそうです。聴覚保護のためにクラシック音楽の流れるヘッドホンを被せてくれるのですが、MRIの音がガンガンうるさくて音楽は気休め程度にしか聞こえません。
生まれて初めてMRIを撮りましたが、閉所恐怖症の人はさぞかし辛いだろうなと思いました。私は恐くないと思っていたのに、段々息苦しくなって気持ち悪くなったくらいですから。
幸いMRIで診たところ断裂している腱はありませんでした。問題は剥離骨折だけです。なるべく左手は使わないように、特に左腕を水平以上には上げないように気をつけなさいと指示されました。着替え等でどうしても左腕を上げなければならないときは、左肩の筋肉に力が入らないように右手で左腕を掴んで持ち上げてやるようにします。
これからは毎週レントゲンを撮って、少しでも骨折部のズレが大きくなるようだったら手術を検討するということになりました。
峯 茂康 | 2006/12/31 日 11:18 | comments (0)
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