home >  射法は寝て待て > 歩射

歩射免許訂正

多度2005若先生
▲若先生(宗家嫡男)平成17年11月23日多度流鏑馬まつり

今年も多度流鏑馬まつりへ騎射の見学に行ってきました。ということは前稿を書いてから一年近くも更新をお休みしていたことになります。まさに「三年寝太郎」の面目躍如といったところです。(自慢することではありませんが…)

少し言い訳をすると、今年(平成17年)の2月に不注意で左肩を骨折してしまい、ずっと養生とリハビリを続けていました。これについては稿を改めて書くつもりです。ひょっとしたら肩の故障で難儀している弓引きの人達の参考になるのではと思っています。

さて、多度大社流鏑馬祭その6の稿で予告した騎射技術の概要に関するまとめを書く前に、歩射の免許について訂正しておかねばなりません。小笠原流の免許の稿を御覧になった同門(埼玉県南部支部)の先輩から「紫二本継指ユガケ免許と三品籐弓免許の順序が逆である」と指摘を頂きました。確認したところ、ご指摘の通り現在は三品籐弓の方が紫二本継指よりも格上です。訂正致します。ご指摘有り難うございました。

実は、昨年私は二本継指の許しを頂戴しました。27歳で同門会に入り40歳で二本継指ユガケの免許を頂くとは、まさに「三年寝太郎」に相応しい遅々とした歩みぶりです。なんとも自分らしいなあと感無量です。

10年以上前、愛知同門会の先輩達に紫紐から重籐弓まで順に許しが印刷された小さな冊子のような免許証を見せて頂いたことがあります。列記された許しの下には免許年月日が書き込まれるようになっていました。しかし私が昨年頂いたのは冊子型免許証ではない免許状で、そこには免許順が書かれていませんでした。

著者プロフィールにも記しましたが、私は平成4年に名古屋の同門会に誘って頂きました。ご存じのように丁度先代宗家が逝去された年です。暫くして兄弟子達のところへ先代宗家存命中に申請していた免許が届きました。ご逝去前後の混乱で遅くなったとのこと。

このときに私の中学高校弓道部時代の一年後輩が二本継指を許されました。彼は私より少し早く入門していましたので門人としては先輩ですが、許しを頂いたことではっきりと格が上になりました。これを御覧になった愛知同門会幹部の方々が、峯についても許しを頂けるように早めに取立(申請)の準備をしようと言って下さいました。

過分なご配慮に恐縮しつつ喜んだのも束の間、その後すぐ愛知同門会山田会長が先代宗家を追うように亡くなり、さらに同門会本部の運営方法の見直しが重なった等々で、私の取立については立ち消えとなりました。

今思えば当流のことを何も知らないのに形ばかりの免許を頂くことにならず良かったわけですが、入門のタイミングが随分と悪かったものだと苦笑しています。

その後、私は宗家や若先生や諸先輩方に行事の折りに少しずつお尋ねして当流について勉強してきましたが、自身が免許を頂いたり免許について教えて頂く機会には恵まれませんでしたので、免許順のような基礎知識は書籍から補充しておりました。(ことさら免許のことを自分からお尋ねするのは不躾な気がしたので)

小笠原流の免許の稿に掲載した免許順は、一張弓を許された高弟である斎藤直芳氏の著書(弓道講座及び現代弓道講座)に記載されていたものです。これを読んだとき、私が以前拝見した先輩の免許証ではユガケの免許が全て済んでから塗弓の免許へ上がるようになっていたのではないかと首を傾げましたが、私の記憶違いだろうと思って斎藤氏の記されたままを掲載しました。

ただ、暫く前の同門会誌「糺法」に掲載された当流道具解説では三品籐弓が「歩射弓5番目の許し弓」と書かれていて、どうも腑に落ちないなあとも思っていましたが、やっと今回のご指摘もあって、先代宗家発行の免許証には三品籐弓は二本継指よりも格上に印刷されていることが確認できました。

斎藤直芳氏は先々代(29世)宗家のお弟子さんですから、先代宗家が免許順を改められたのでしょうか。当流の長い歴史の間には時代や社会情勢に応じた変化が免許にもあったようですから、珍しいことではないのかも知れません。機会があれば宗家にお尋ねしようと思っています。

コメント

この記事へのコメントはこちらのフォームから送信してください

記事カテゴリ
最近のコメント
recommend
小笠原流 流鏑馬

小笠原流 流鏑馬 | 小笠原流が各地の神社で奉仕する流鏑馬を網羅した写真集。各地それぞれの行事の特徴や装束が美しい写真で解説される。観覧者が通常見ることのない稽古の様子や小笠原流の歴史についても書かれており読み物としても興味深い。数百年の時を経て継承されてきた古流の現在を記録し後世に残すという意味で資料としての価値は高い。

小笠原流弓と礼のこころ

小笠原流弓と礼のこころ | 小笠原流宗家(弓馬術礼法小笠原教場三十一世小笠原清忠)著。一子相伝800年の小笠原流の歴史や稽古法などについては40年程前に先代宗家の著した書があるが、本書では加えて武家社会終焉以来の「家業を生業とせず」という家訓を守ること、そしてこの平成の世で礼法のみならず弓馬術の流儀を守ることへの矜恃が綴られる。

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本

弓の道 正法流入門―武道としての弓道技術教本 | のうあん先生こと正法流吉田能安先生の教えを門人達が記録した書籍。のうあん先生は古流出身ではないが、古流を深く研究した上で現代正面射法を極めた人といえる。射法についての解説はもちろんのこと、伝説の兜射貫きや裏芸といわれる管矢についての記述も読み応えがある。

著者プロフィール
過去の記事
others
東海弓道倶楽部